「勝てる」と信じていたからこそ、余計に悔しい。錦織圭の言葉からは、そんな思いがひしひしと伝わってきた。過去2度も優勝経験があるバルセロナ・オープンの3回戦で、第1シードで世界ランキング3位のラファエル・ナダルに0-6、6-2、2-6のフルセットで敗れた。
「ラファ・ナダル」と名付けられたコートで、「赤土の王者」に食らいついた。その手応えについて、海外メディアとのやり取りを含めて記者会見で3度も問われた。答えはどれも、悔しさが満足感を上回っていた。
「いくらかはうれしさもあるけど、出だしが良くなかった。いきなり0-6になって、ちょっとパニックになってしまった。第2セットは深い球やフォアハンドで支配できたけど、最終セットはブレークポイントを取れなかった」
これは英語での回答。以下の2つは日本語で答えた。
「良かったな、って気持ちはそこまでないですね。(良いプレーを)続けられていないってところが、何となく腑に落ちないというか…。もやもやが残っているところだと思います」
「自信については、ちょっとよく分かんないですね。継続的な良いプレーが今のところ、この(バルセロナでの)3試合で1回も出ていないので」
ナダルのクレーコートの勝率は、驚異の「92%」
過去のデータでは、あらゆる数字が「ナダル優勢」を示唆していた。
錦織は2勝11敗。勝ったのはともにハードコートで、クレーコートに限れば5戦全敗、奪ったセット数は1だった。
一方、ナダルは赤土の全仏オープンで史上最多13度の優勝を誇り、ツアー86勝のうちクレーコートでは60勝。本大会も11度制している。クレーコートの勝率は驚異の約92%だ。
とはいえ、今のナダルには付け入る隙があった。今季は背中に不安を抱えて休養しながらのシーズン。その影響か、サーブやバックハンドの精度が本調子ではない。初戦の2回戦では、クレーコートの経験が浅い世界111位のイリア・イワシュカに第1セットを奪われ、冷や汗をかいた。前週には赤土のモンテカルロ・マスターズ準々決勝で、ロシアの新鋭アンドレイ・ルブレフに7度もサービスゲームを破られて屈した。
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