先月24日に53歳で死去した92年バルセロナオリンピック(五輪)男子71キロ級金メダルの古賀稔彦さんの次男で、18年世界ジュニア60キロ級覇者の玄暉(22=旭化成)が涙の優勝を飾った。決勝は20年講道館杯3位の竪山将(パーク24)と対戦。6分を超える延長の末、3試合連続で一本勝ちした。亡き父への恩返しのため最後まであきらめず、粘り強く戦った。

試合後の表彰式では涙目で天を見上げ、その後のインタビュー取材に応じた。

「率直にうれしいという気持ちが一番。いろいろあったけど、絶対に優勝するという気持ちで戦った。父には社会人になってから恩返ししようと思ったら、その前に亡くなってしまって…。できるはことは結果で恩返しなので、1つ1つの大会を優勝して、24年パリ五輪の金メダルを目標にしたい。帰ったら父には『まだまだ恩返しできてないけど、少しずつ次も頑張ります』と伝えたい」

準決勝は、日体大の先輩で19年講道館覇者の青木大(パーク24)と対戦。最軽量級では長身同士の対決となり、青木より3センチ低い170センチの玄暉が序盤から積極的に攻撃を仕掛けた。開始4分に、捨て身技から大内刈りで一本勝ちを収めた。

1回戦も19年講道館杯3位の福田大悟(鹿屋体大)に送り襟絞めで一本勝ちした。

今大会は24年パリ五輪につながる第1歩。今春、日体大を卒業した玄暉は、父が亡くなった悲しみに耐えながら、この日のために毎日稽古に励んできた。平成の三四郎に「結果で恩返しする」と誓っていた。