羽生結弦がＳＰ今季ベスト107・12「宇野選手の力を借りて滑りました」 - フィギュア - ニッカンスポーツ

＜フィギュアスケート：世界国別対抗戦＞◇15日◇第1日◇男子ショートプログラム（SP）◇丸善インテックアリーナ大阪

4年ぶり3度目の優勝を目指す日本の羽生結弦（26＝ANA）が10番滑走でSPに登場した。得点は今季ベストの107・12点だった。順位はネーサン・チェン（21＝米国）の109・65点に次ぐ2位となった。

誰かの光になれるように－。その思いでSP「レット・ミー・エンターテイン・ユー」を演じると、冒頭の4回転サルコーを華麗に成功。4回転トーループ－両手上げ3回転トーループも決めた。最後は、カウンターからの切れ味鋭いトリプルアクセル（3回転半ジャンプ）。ここは勢いがつきすぎたが、下がった頭が氷につきそうなほどの動きの中、こらえて、着氷してみせた。

演技を終えると、ふうっと息を吐き、右目の前でピース。有観客の会場から万雷の拍手を浴びた。幼少期の写真が収められた、うちわを手に得点を待つと今季最高点が表示された。

演技後に行われたオンライン取材の一問一答は以下の通り。

－SPを終えて

羽生　日本語のアナウンスだったんで。宇野選手の点数があまり良くなかったのが聞こえてて、緊張しちゃいました。でも、彼の魂とかを受け止めて、自分の演技に入り込みました。自分のペースでやることだと思っているので、最後の最後まで宇野選手とともに。彼の力を借りて滑りました。

－（取材中にチェンの首位が確定し）結果について

羽生　やれることはやったので順位は気にしてないです。まずは自分のこととして。チーム競技なので。自分のこととしては、初めて、このプログラムで4回転サルコーと4回転トーループ－3回転トーループをキレイに決められた。成長しているなと思う。

－フリーに向けて

羽生　やはり、世界選手権（3月、銅メダル）の悔しさは少なからずあって、リベンジしたい思いも少なからずあって。それを認めて、成長したなと感じられるような演技ができるように、集中したいと思います。

－世界選手権の前に宮城県で大きな地震があって自宅やリンクに被害があったと聞いた

羽生　棚が倒れたり、自宅の壁にヒビが入ったかもしれないですけど、東日本大震災のようなことにはなっていません。（拠点の）アイスリンク仙台に関しては「3・11で被害を受けた壁がまた崩れたり、所々、3・11の時のような状態にはなりましたが、幸いにも、氷や冷却器が壊れたことはなかった。アイスリンク仙台さんのご厚意で、1日はできなかったんですけど、次の日から、補修工事をしながらですけど滑らせてもらえました。

－今季、グランプリ（GP）シリーズを欠場したり、世界選手権に出場したりした中で感じたことは

羽生　スポンサーさんであるANAさんの飛行機で、スウェーデンから日本に帰ってくる時、誰も乗っていなくて。海外の人には「ゴーストタウンって呼ばれてるんだよ」って状況を見たり。本来は搭乗ゲートだった場所が病院の受付みたいになっていたりだとか。その中で自分自身が感染しない、感染を広げるきっかけになってはいけない、とGPは棄権したのですが、その気持ちは持ちつつ、普通ではなくなっている状況で。こうやって大会を開催してくれたり、この場にテレビ、記者の方々が来てくださったり、本当に大変なことを痛感したので。そのお仕事の場に、僕が身を寄せることによって、何かしらの力になれるんじゃないかと思いました。帰国する時、お世話してくださったANAの方が『おめでとう』とは言えない状態でしたけど『勇気をもらえました』とか言ってくださったりして。まだ複雑な気持ちはありますけど、両方とも（思いを）持った上で出場することを決意しました。

【木下淳】

◆世界国別対抗戦　7度目の開催となる国際スケート連盟（ISU）公認大会。世界6カ国が男女シングル各2人、ペア1組、アイスダンス1組の4種目8人で争う。各種目優勝は12点、2位は11点…と与えられ、合計点で優勝国を決める。日本の他にロシア、米国、フランス、イタリア、カナダが参加。SP、フリー（アイスダンスはリズムダンス、フリーダンス）ごとに区切り、総合得点での順位は得点としない。各出場者（組）の総合得点はISU公認記録となる。

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