東京パラリンピックの顔として常に注目を浴びてきた国枝慎吾選手が、コートの上で涙を流しながら日の丸に顔をうずめました。
千葉県出身の37歳。
9歳の時に脊髄の病気で両足に障害が残りその2年後に車いすテニスを始めました。
パラリンピックでは初出場した2004年アテネ大会で男子ダブルスの金メダルを獲得、シングルスで北京とロンドンで2連覇を達成し世界のパラアスリートを代表する存在です。
パラリンピックのたびに活躍し、当然結果を残すと期待される国枝選手ですが、東京大会までの道のりは、平たんではありませんでした。
シングルスで3連覇のかかった前回リオデジャネイロ大会は、右ひじのけがを抱えたまま出場し、成長著しい若いライバルたちの勢いにも飲み込まれ、ベスト8で敗退します。
大会後「このまま引退してもいいテニス人生だったと思えるな」とラケットを置くことも考えました。
しかし、王座から引きずり下ろされたからこそ、国枝選手は復活に闘志を燃やします。
まずはけがの原因になったバックハンドを改造し、ひじへの負担を減らす打ち方をマスターして強打を取り戻しました。
さらに、2018年から指導を受ける岩見亮コーチのもと、ベースラインから下がらず早いテンポで強打を打ち込んだりネットプレーの回数を増やしたりと攻撃的なテニスを身につけ、世界ランキング1位に返り咲きました。
復活を遂げた国枝選手が東京大会で掲げた目標は、世界のライバルたちとともにプレーを通して競技の魅力を伝えることと、金メダルの奪還。
そのすべてを決勝の舞台で達成し最高の形で大会を締めくくりました。
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