日本サッカー協会が欧州にも日本代表の拠点の建設を計画していることが7日、分かった。ドイツに巨額を投じ、天然芝1面とクラブハウスを設置するプラン。常設施設で、欧州でプレーする日本代表選手が利用し、日本代表の欧州遠征時にも練習会場として利用が可能となる。当初、2020年開設に向け水面下で計画を練っていたが、新型コロナウイルスの影響などで延期となっていた。新型コロナ収束、財政面の回復などクリアすべき条件はあるが、再び夢実現へと歩み出す。

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欧州にも、日本サッカーの“虎の穴”ができる日がやってくる。日本協会がドイツ連盟の協力も得て天然芝のピッチ1面と、シャワーやロッカー室、治療室を完備したクラブハウス付きの日本代表の前線基地を計画している。千葉・幕張に悲願だった、日本代表の拠点「JFA夢フィールド」を20年にオープンさせたが、これに続く、拠点の計画案だ。欧州クラブでプレーする日本代表選手がトレーニングやマッサージ、リハビリ、簡単な治療、メンタルケアなどで日常的に利用できるようにする。日本代表の欧州遠征時には、練習施設としても活用できる。

日本協会の幹部は「今は欧州組だけで2チームを作れるほど、日本選手の欧州クラブ進出が増えた。日本代表の軸になる選手たちなので、普段からクラブの休みの日などに、体やメンタルのケアをしていく必要がある」と話す。欧州に受け皿ができれば、日本から医師やフィジカルトレーナー、マッサージ担当者などの派遣も容易になり、質の高いバックアップ体制が構築できる。

水面下で、実は10年も前から計画されていた。関係の深いドイツ連盟の協力を取り付けた上、昨年のオープンを目指していた。しかしコロナ禍により、渡航も含め、欧州を拠点に活動すること自体に制限がかかった。さらに日本代表の無観客試合を余儀なくされるなど、予定していた収入が大幅減少。街クラブなど、国内サッカーファミリーへの支援を厚くしたことなどから、投資の優先度が変わり、短期の計画から中期計画に切り替えた。

日本協会は昨年、ドイツ・デュッセルドルフに事務所を開き、職員を常駐させている。マッサージ用の部屋を作り、所属クラブのオフには体のケアを目的に、欧州組が訪れることもある。加えて、欧州各クラブとの選手派遣などの交渉や、首脳陣の視察などで拠点として活用。東京五輪ではオーバーエージ(OA)枠を含む、ベストメンバーをそろえることができた。事務所から“欧州版夢フィールド”へと計画がグレードアップするのは、自然の流れともいえる。

ドイツ連盟の理解があり、建設費などが比較的に安くなると見積もるが、施設の建設などに数億円、年間維持費で約1億円の経費がかかるとみられる。コロナ禍が収束し、日本協会の収入が正常化したタイミングで、夢プランが実行に移される。

◆高円宮記念JFA夢フィールド 千葉の海浜幕張に20年オープン。天然芝ピッチ2面、人工芝ピッチ2面にフットサルアリーナ、クラブハウスを備える。男女各カテゴリーの代表スタッフ、指導者や審判員のインストラクター、医療や分析の専門スタッフの活動拠点。日本代表や年代別の代表チームが合宿などで利用する。今年7月には、ビーチ日本代表の常設練習場「ピッチ・カリオカ」も敷地内にオープン。リオデジャネイロ出身者の愛称でもある「カリオカ」という名称は、同代表のラモス瑠偉前監督、茂怜羅オズ選手兼監督に敬意を表し、名付けられた。