2021年08月03日07時10分
笑顔でやり切った演技を―。母が祈る中、体操女子のエース村上茉愛選手(24)が種目別ゆかで銅メダルに輝いた。ゆかにこだわりスタートした競技人生。集大成の東京五輪で笑顔がはじけた。
小学6年で大技シリバスをやってのけた村上選手。母英子さん(52)は「世界でできたらすごいねと、デビューする前からゆかへの思いがあった」と振り返る。選曲やダンスに熱が入った。
世界デビューは高校2年の世界選手権。ゆかで米国のシモーン・バイルス選手と競ったが、結果は4位。当時指導していた大野和邦さん(50)は「完璧な演技をしたと思っていて、消化し切れなかった。それが金メダルに向けた世界へのスタートだった」と話す。浮き沈みも経験しながら、力を付けた。
リオデジャネイロ五輪は、団体で48年ぶりの4位に貢献したが、個人総合は得意のゆかで着地が乱れ17位。メダルを狙った種目別のゆかも7位と振るわなかった。英子さんは「満足のいく演技ができなかった。その悔しさは、やっぱりゆかなんです。もうやめちゃおうかなという思いもあったでしょうね」と話す。
2018年世界選手権の個人総合で銀に輝き、集大成と位置付けた東京五輪は、コロナ禍で延期に。「中止になるかもしれないんだよ。ここでやめちゃおうかな」。引退を口にする娘に、「バイルスだって一緒なんだよ」と言って思いとどまらせたことも。
「もう悔し涙は見たくない。笑顔でやり切ってほしい」と祈るように語った母。迎えた五輪は団体総合5位、個人総合5位を経て、締めくくりとなる種目別ゆかで悲願のメダルを獲得した。
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