◆第103回全国高校野球選手権大会第13日 ▽準々決勝 智弁学園3X―2明徳義塾(26日・甲子園)
強打の智弁学園を相手にロースコアの接戦を望んだ明徳義塾・馬淵史郎監督(65)には、最高の展開になっていた。1―1で迎えた9回表。前日の松商学園戦で「完封&決勝弾」の離れ業を演じ、この日は一塁手として出場していた代木大和(3年)が、先頭で中越えのアーチを放って勝ち越しに成功した。
9回裏に、この1点を守り切るだけ。ところが、エースの疲労を考慮して先発し、8回まで2安打に抑えていた左サイドの吉村優聖歩投手(2年)が突然崩れた。先頭打者に安打で出塁を許すと、2番・森田空中堅手(3年)にバスターで中前へ運ばれ、無死一、二塁のピンチに。馬淵監督が、その場面を振り返った。「バントなら前川君とは勝負して、山下君を申告敬遠。次の岡島君との勝負に懸けると決めていた。前川君さえ打ち取ったら何とかなると思っていたが、2番に打たれた時点で、こっちの構想がまるっきりおかしくなってしまいました」
指揮官が「想定外」と話す出来事は続いた。3番・前川右京左翼手(3年)に死球を与えて満塁になると、続く4番・山下陽輔三塁手(3年)も死球で押し出し。自滅の形で追いつかれ、5番・岡島光星遊撃手(3年)の詰まった右前の飛球がポテンと落ちて逆転サヨナラ負けを喫した。
代木は5回終了後のグラウンド整備の時にブルペンで肩を作っていた。どこかのタイミングで交代があって不思議なかったが。指揮官は吉村に全てを託した。「吉村は1、2回戦で(救援して)無死三塁、無死満塁を抑えた。代木はブルペンで引っかかったようなボールを投げていたので、最後まで吉村でいきました」。ラッキーボーイの勝運にかけたが、智弁学園に傾いた流れを呼び戻すことは出来なかった。
最後は悔しいマウンドになってしまった吉村だが、1、2回戦では代木をリリーフして2年生ながらチームの8強入りに貢献した。最終回の投球について、馬淵監督は「まず、必死になって先頭バッターを取らなければいけない。次のバッターに対しては、バントと決めつけてスーッと投げてバスター。あのあたりは、甲子園では絶対に見逃してもらえません」。厳しい目で指摘したが「強打の智弁学園を、あの点差で抑えたことは、すごく自信になるのではないでしょうか」と好投を認め、今後の成長を期待していた。
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