◆東京五輪 野球 決勝トーナメント 日本7x―6米国(2日・横浜スタジアム)
甲斐が決めた! 野球日本代表「侍ジャパン」が準々決勝で劇的サヨナラ勝ち。プロ参加の五輪では米国に初勝利を挙げ、金メダルへあと2勝と迫った。9回に1点差を追いつきタイブレーク制の延長10回に守護神・栗林(広島)が無失点リリーフ。その裏1死二、三塁から甲斐(ソフトバンク)が右越えにサヨナラ打を放った。先発の田中将(楽天)が4回途中でKOされる逆境をはね返す勝利を勢いに、4日の準決勝では韓国と対戦する。
勝利を確信し、右手を天高く突き上げた。タイブレークの延長10回1死二、三塁。甲斐はジャクソンの初球、スライダーを振り抜いた。この直前に米国のソーシア監督は中堅を守っていたロペスを二塁ベース付近に配置。エンゼルス監督時代から仕掛けていた“内野5人シフト”を敷いてきたが、打球は右翼の頭を大きく越えた。奇襲をぶち抜くサヨナラ打で、歓喜の渦にのみ込まれた。
「外野が1人内野に来てという状況だったので。何とか初球から振りにいこうという思いがああいう結果になったと思います」
打席に入る前には稲葉監督に直訴した。「打っていいですか?」。指揮官の答えは「打っていいよ」。信頼に一発回答した。ここまで3試合で8打数4安打、チームトップの打率5割で3試合連続打点。日本代表監督に就任した17年から招集を続けてくれる稲葉監督に最高の恩返しだ。
千賀が刺激 “戦友”の姿を力に変えた。左足首のじん帯損傷から復活し、追加招集された千賀とは同期入団、同学年で大の仲良し。1軍復帰戦で3回途中10失点と大炎上し、不安を抱えていた右腕には「こういったタイミングでオリンピックという舞台に出られることはなかなかないんだから」とそっと声をかけた。この日、自身は途中出場でバッテリーは組めなかったが、千賀の快投に勇気づけられた。
「金メダルを取るためにやっているので。まだ試合があるので、今日は今日で切り替えて、また準備していきたいと思います」と背番号10。育成選手から日本の正捕手に成り上がった男は重圧にも負けない。
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