
我慢がキレたかと思ったが
第1セットをムグルサ、第2セットを大坂がブレークダウンから奪い返して迎えた最終セット、第5ゲームで先にブレークしたのはムグルサ。大坂は15-15でチャンスボールをミスし、15-40で地面にラケットをぶつけ、最後はダブルフォルト。とうとう我慢がキレたゲームだった――が、そう単純な“キレ方”ではなかった。 「試合を通してちょっといろいろ考えすぎていたところがあったけど、余計な考えが吹っ切れた感じだった。あのあとは直感をベースにプレーするようになったと思う」
崖っ縁に立たされてスイッチが入った
それでもすぐに流れが変わったわけではない。第8ゲームで握ったブレークポイントはサービスエースでかわされ、3-5で迎えた次のサービスゲームで15-40の崖っ縁に立たされた。ここからだ。本当の意味で大坂にスイッチが入ったのは。 エースで1つしのぐ。次は、セカンドサーブからのラリーでムグルサの強烈なショットに攻められながら最後はミスを誘った。 追い込まれれば大坂のショットはより深く、鋭くなり、ますます落ち着きを増していく。追い詰めた者と追い詰められた者が、まるで逆のように見えた。第10ゲームでデュースから連続のウィナーでついに5-5に追いつくと、危なげなくキープして6-5。スコアはまだイーブンでも完全に優位に立った大坂が、最後はラブゲームのブレークで1時間55分の試合を締めくくった。 ムグルサは、悔やむとしたらマッチポイントの2つ目だと言い、「サービング・フォー・ザ・マッチのサーブがもっと良ければラリーの主導権を先にとれた」とも言った。しかし、マッチポイント以降アンフォーストエラーを1つもおかさなかった大坂の攻撃に対し、焦燥の中でムグルサはどう対処できただろう。
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