二刀流復活を目指すロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平が、2月24日(日本時間25日)に今キャンプ初となるライブBP(実戦形式の打撃練習)に登板して、最速97マイル(156キロ)を計測した。
昨季ブレイクしたジャレッド・ウォルシュと若手のルイス・レンヒーフォを相手に20球を投げた大谷は、フォーシーム、スプリット、スライダー、カーブ、そしてメジャーに来てからは投げていなかったチェンジアップと多彩な球種を投げた。
「強い強度で投げる」ことと「ゾーン内で勝負する」ことの2点を意識して投げたと言う大谷は、「ある程度、ゾーン内には収まっていた。あとは細かいコースとかはこれから、もうちょっとやる必要があるかなとは思います。1回目にはしては良かった」と今季初のライブBP登板に手応えを感じた。
昨季はメジャー1年目に比べるとスピードも出ずに、制球力も乱れたが、今日の登板では「(制球力と球速は)どちらも大事。それは平行しながらかなと思います」と制球力と球速の両方を意識。
「強度を高めて投げるというのも大事ですし、ある程度コマンドを良くゾーンにしっかり投げるっていうのも大事だと思っている」という中で最速97マイルを計測した。
球速と回転数の両立
メジャー1年目の2018年は平均球速が96.7マイル(155.6キロ)だったフォーシームが、昨季は平均93.8マイル(150.9キロ)まで落ちてしまった。昨季の最速は97.1マイル(156.2キロ)で、今年はキャンプ初登板で並ぶほどにスピードは戻ってきている。
「97マイルは最後の1球で、少し力を入れて投げた球。それ以外は基本的には94(151キロ)とか95マイル(153キロ)。最後は引っ掛け気味だったので。全体的にスピンの効いた球がいったときは良いんじゃないかなと思って投げてました」
投球の生命線であるフォーシームに関しては、回転数を意識しながら投げていると大谷は説明する。
「フォーシームのスピンレートを上げたい。手っ取り早いのは、こすりながら投げればいいのですが、それだと球速が出にくいので、そこの丁度いい塩梅というか、自分に合ったリリースの仕方があると思うので、そこをデータと比較しながら感覚とすり合わせていくのがベスト」
ハイスピードカメラでリリースポイントをチェックしながら、持ち味であるスピードを殺さずに回転数を上げる最適の方法を探し出そうとしている。
昨季、フォーシームの平均回転数がメジャートップだったのは2776回転のトレバー・バウアー(シンシナティ・レッズ、今季からロサンゼルス・ドジャース)だったが、バウアーのフォーシームの平均球速は93.5マイル(150.4キロ)とメジャーの平均以下でしかない。
フォーシームのスピードと回転数を両立できている投手には、平均球速が97.1マイル(156.2キロ)で2707回転のダニエル・バード(コロラド・ロッキーズ)がいる。ダルビッシュ有も95.9マイル(154.3キロ)、2582回転と両立できているので、大谷の参考になりそうだ。
ちなみに大谷のフォーシームは昨季が93.8マイル(150.9キロ)、2155回転で、2018年は96.7マイル(155.6キロ)、2164回転だった。
日本時代とは異なるチェンジアップ
変化球の制球力は「スライダーは良かったけど、スプリットはちょっと落ちが悪いかなと感じた」と口にした大谷。「1年目のキャンプもスプリットはあまり良くなかったので、アリゾナのせいなのかは分かりませんが、もう少し工夫が必要かなと思います」とスプリットの改良を今後の課題として挙げた。
そして、日本では投げていたが、メジャーでは封印していたチェンジアップにも取り組み始めた。
日本では「最初はチェンジアップをメインで投げていたので、そこからシフトしてスプリットをメインにした」というチェンジアップ。
「久々に投げて、変化も良かった」と感触は良かったが、「基本的には落ち球系だとは思うんですけど、より横の動きがメインの球になればいいなと思ってます」と日本時代とは異なる使い方を目指している。
そのために日本時代とは握り方も変えて試している。
「落ち球としてより、横の変化として投げたいなとは思っているので、抜くかどうかというより、しっかりと逃げるように変化できるかどうかが一番大事かなと思います」
球速と制球力が2018年レベルに戻り、新たな球種として横に逃げるチェンジアップを習得できれば、大谷は投手としてもう一つ上のレベルに到達できるはずだ。
今春の大谷は二刀流完全復活に向けて、幸先の良いスタートを切った。
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