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【侍ジャパン】稲葉篤紀監督「体現できた」 イチロー氏の言葉と大谷翔平の助言、金メダル舞台裏明かした - スポーツ報知

 野球日本代表「侍ジャパン」の稲葉篤紀監督(49)が16日、都内で取材に応じ、金メダルに輝いた東京五輪を振り返った。マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(47)が19年の引退会見で発した言葉を受け止め、影響力の大きい五輪で“日本の野球”で勝ち抜くことを決意。エンゼルス・大谷翔平投手(27)から助言を受けたことも明かし、「考える野球を体現できた」と充実感を口にした。(取材・構成=宮脇央介)

 集大成の五輪に挑もうとしていた稲葉監督は、イチロー氏にメールを送った。ともに愛知出身で、少年時代は同じバッティングセンターに通っていた間柄。06、09年WBCで日本を世界一に導いた同氏の“代表愛”を知る指揮官は、1歳下のレジェンドに助言を求めた。

 「ジャパンにアドバイスや激励の言葉があればお願いします」

 「とんでもございません。期待しています」

 稲葉監督に敬意を抱くイチロー氏らしい返信だった。ただ、指揮官の中で、五輪の舞台で示さんとする野球は固まっていた。19年3月。日米通算4367安打を放った希代のヒットメーカーが、引退会見で残したメッセージ(注1)が心に焼き付いていた。

 「イチくんが最後の会見で、これからの野球界を心配していた。日本には日本の良さがある、と。日本は『考える野球』。きちっとした野球をやれば、どんな相手にも立ち向かっていけるんだ、とね」

 高い走塁意識、カバーリングなどの基本の徹底、何より勝つための緻密(ちみつ)な戦略やバリエーションに富んだ戦術こそ、日本の強みと自負する。体格差を覆して08年北京五輪に続く金メダルを獲得したソフトボール日本代表にもヒントを得て、パワー重視の米国を準々決勝と決勝で破った。

 「子どもたちを含めたアマチュア世代のヒントになる戦い方ができたと思う。単にバント、というのではなく、次の塁を常に狙う、投手は四球を出さない、こちらは我慢してボールを振らず四球を選ぶとかね」

 準々決勝、同点のタイブレーク10回裏。代打の栗原は1球で送りバントを決めた。心身の準備のたまものだった。1死二、三塁で米国の策は内野5人シフト。首脳陣が戦略を思案していると、打席に向かう甲斐から「打っていいですか?」と打診された。シフトを破る右越えサヨナラ打。臨機応変の考える野球は全員に浸透していた。

 イチロー氏だけではない。金メダルの裏側には、海の向こうで新たな歴史を刻む男も存在した。準々決勝前、稲葉監督が連絡を入れたのはエンゼルスの大谷だった。

 「どうやって外国人投手を打ってるの?って聞いたら、翔平は『僕だったら何も変えません』と。何度も対戦するシーズンなら別だけど、短期決戦。『コンディションだけをしっかり整えれば大丈夫』とね」

 選手には伝えず、思い思いの調整をさせ、決勝トーナメント3連勝でゴールテープを切った。

 「フライボール革命(注2)とか新しいことを取り入れることも大事だけど、やっぱり日本は戦略を立てて戦う『考える野球』。それを体現できたのかな」

 悲願達成の背景には、日本野球の未来へイチローが現役最後の一日に残した言葉と、今まさに最前線で戦う大谷の金言があった。

 「金メダルは、みんなで勝ち取ったものじゃないかな」

 全て接戦を制し、5戦5勝。オールジャパンで頂点を極めた侍の足跡は、日本野球の神髄を示した。

 【注1】アスレチックスとの開幕2連戦(東京D)後に現役引退会見。「(野球は)本来、頭を使わないとできない競技。でも、そうじゃなくなってきているのが気持ち悪くて。(中略)日本がアメリカの野球に追従する必要は全くなくて、日本の野球は頭を使う面白い野球であってほしいなと思います」などと述べた。

 【注2】ゴロを避け、強いフライを打つことを推奨する理論。データ解析が進んだメジャーで15年以降に流行。打球速度158キロ以上、角度30度前後が最も安打になる可能性が高いとされ、強いフライを打つ、ややアッパースイングの軌道が一気に定着した。17年にワールドシリーズを制したアストロズはその代表格とされた。一方で三振が増える弊害も。

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