WBO世界スーパー・フライ級王者の井岡一翔(志成)が1日、東京・大田区総合体育館で指名挑戦者、ランキング2位のフランシスコ・ロドリゲスJr(メキシコ)と防衛戦を行い、3-0判定勝ちで3度目の防衛を成功させた。楽勝ムードも漂う中だったが、井岡は思わぬ苦戦を強いられた。
「負けるとしたら、こういうときに負ける」
盤石のはずのチャンピオンが歯車を大きく狂わされた。初回、いつものようにどっしり構えて相手の出方をうかがう井岡に対し、ロドリゲスはスッと前に出てテンポよくパンチを打ち込んでいく。ワンツーとは逆、右から左というコンビネーションが効果的で、ディフェンスのいい井岡が何度もこのパンチをもらってしまった。
ロドリゲスの戦い方は巧みだった。前に出てパンチをまとめたり、体をつけてクリンチ際を狙ったりするかと思えば、前に出ずに井岡の打ち終わりに合わせて左右のフックを打ち込んでもみせる。井岡は生命線であるジャブが出せず、巧みなポジショニングもうまく機能させることができず、クリンチが多いのも気になるところだった。
「メキシコの選手特有のリズムというか、やりづらさ、入ってくるタイミングだったりをつかみきれないところはあった。準備していた選択肢はあったけど、それをはめこむのが難しかった」
井岡は試合後、首をひねるようにしてこう答えた。そして苦戦であることを受け入れて何とか軌道修正しようとしたことを明かした。
「試合の流れとしては良くないな、良くないなっていうふうに(感じていた)。最初のほうは特に悪循環。やりたいこと(距離を取ってジャブを突くボクシング)って言うよりは、今どうすべきかに切り替えて、やりたいことを我慢して戦った」
挑戦者のロドリゲスは元世界チャンピオンとはいえ、それは3階級下のミニマム級、しかも7年も前の話だ。世界4階級制覇王者の優位は動かない、というのが戦前の大方の予想である。いわば“楽勝”と周囲が見る相手に押され気味なのだから、焦りから崩れていってもおかしくはなかった。
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