フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ最終戦NHK杯が27日、大阪・東和薬品ラクタブドームで開幕する。今季からアイスダンスに転向した元男子世界王者の高橋大輔(34)は26日、村元哉中(かな、27=ともに関大KFSC)と会場で公式練習に参加。肉体改造した全身を使ってシングルにはないリフトも確認し、初めての競技会に向けて2人そろって「楽しむ」とテーマを掲げた。

製氷終わりの輝くリンクに立ち、高橋がそっと手を差し出した。隣の村元と視線を合わせ、2人で穏やかに笑った。上半身がえんじ、下半身は黒。フリーダンス(FD)の衣装に身を包むと、薄いピンクが映えるパートナーを持ち上げた。「(村元に)引っ張ってもらって…」。アイスダンスで18年平昌五輪15位と経験豊富な村元は「私も(試合が)2年ぶりで緊張した部分もあった。楽しもうと思いました」とほほえんだ。

かねてアイスダンスに興味を持っていた高橋が、村元からの誘いで昨夏に転向を決断。今年に入って米フロリダへ渡ったが、新型コロナウイルスで想定より練習量は少ない。それでも高橋はプロテインの摂取、1日4食と肉体改造。周囲は「太ももが一回り太くなった」と目を細める。エッジ(刃)を深く倒す滑りなど、従来の長所が生きる一方で「やっぱりスピン、リフトなんかは、まだ時間が必要だな」と正直に言った。

目標とする22年北京五輪への第1歩。志は同じだ。

高橋 どんな評価をもらえるか分かる。楽しんで、いいスタートを切りたい。

村元 あまり順位や得点は気にせず。初披露の場を楽しめたらいいなと思う。

27日に迎えるリズムダンス(RD)。現在地を確かめる時が来る。【松本航】