巨人の中田翔内野手(32)が2日、侍ジャパン・栗山英樹監督(60)に恩返しの大活躍を誓った。昨年8月に日本ハムで暴行問題を起こし、無償トレードで巨人に加入後は初対面。日本ハムで約10年間指導を受けてきた恩師から練習中に激励され「全力でやります」と巻き返しを約束。新たな目標に23年WBCでの共闘も掲げた。
いつもと変わらない優しいまなざしが、中田の心に安心感と新たな活力を与えた。S班練習中のひなた木の花ドーム。フリー打撃で鋭い打球を飛ばしていた背番号10は、視察に来た侍ジャパン・栗山監督の姿を見つけると、小走りで駆け寄った。
「会うのは久しぶりなので、ほっとしました。野球で恩返ししようなという言葉をかけてもらい、僕も全力でやりますし、今年は任せてくださいと伝えました」
暴行問題を起こして日本ハムから巨人に移籍後初対面。約20秒のやりとりだったが、昨年まで日本ハムの監督と4番として固い絆で結ばれてきただけに、互いの表情は柔らかかった。
栗山監督は12年に日本ハムの監督に就任してから10年間、「4番・中田翔」を貫いてきた。それだけに「あいつ優しいから申し訳なさとか心の中にあるんだよね」。心中をこう察知した上で「我々はユニホームを着て恩返しをするしかないんだって話は伝えました。相手チームに憎まれるぐらいの活躍をするのが恩返し。翔のことはこっちがいまだに一番気になっている」。変わらぬ親心で新天地での巻き返しを願った。
再会したことで、中田には新たな目標も生まれた。栗山監督が指揮を執る23年WBCで日本代表入りすることだ。「監督と同じユニホームを着てやれるというのは僕にとってはすごく特別なものがある。まずはしっかり結果を残してファンの皆さんに一日でも早く認めてもらって、選ばれるような選手になりたい」。13、17年に続く3度目の出場に意欲を示した。
S班での春季キャンプは2日目を迎え、この日はフリー打撃後にスイング軌道を意識しながら入念にティー打撃を行うなど、黙々とバットを振り込んだ。背番号10で過ごす初めてのキャンプに「気持ちも引き締まりますし、(背番号に)恥じないように頑張らないといけないなと思います」。中田翔らしいプレーで結果を残し、この日誓った約束を守る。(後藤 亮太)
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