◆北京冬季五輪 ▽フィギュアスケート団体戦(7日・首都体育館)
団体戦で、日本が初の銅メダルを獲得した。最終日を3位で迎え、ペアフリーは三浦璃来(20)、木原龍一(29)組=木下グループ=が自己新の139・60点で2位、女子フリーでは全日本女王の坂本花織(21)=シスメックス=が148・66点で2位に入った。アイスダンスのフリーダンスは小松原美里(29)、尊(30)組=倉敷FSC=が5位で日本は順位合計63点。女子で注目の15歳、カミラ・ワリエワを擁するROCが74点で2大会ぶりの金メダルを獲得した。
最後まで演じ切り、感無量の三浦の頭をポンポンと、木原は褒めるようにタッチした。メダルを決めたこん身の演技に、2人は氷上で抱き合って喜んだ。吉報が届いたのは取材中だ。表彰台確定を知った2人は一緒に両手を突き上げた。三浦は「うわ、やった~!」と歓喜し、木原は「とりあえずメダルは取れた」と安ど。自己ベストを4・03点も更新する“りくりゅう”の大躍進が、日本に初の団体メダルをもたらした。
勝負を決めた「ウーマン」は、わずかなミスこそあったものの、メダルをかけた緊迫感の中、華麗なリフト、スロー3回転ルッツと技を流れるように決めた。曲が終わると三浦は崩れ落ち、木原に「怖かった~」と言った。それほど、重圧を背負っての演技だった。一方の木原は3度目の五輪で、ついにメダル獲得に貢献。「8年間悔しかった思いは晴らせた」と胸を張った。
19年7月、三浦から木原に声をかけトライアウトを受けた。木原が三浦を真上に上げる技を初めて実施した瞬間、同時にビビっと衝撃が走った。三浦は「感じたことのない高さで、空中時間ってこんなに長いんだと思った」。木原も「ここまで相性の合う方がいるんだ」。まさに運命によって引き寄せられた。
木原は、シングル時代60キロだった体重が78キロにまで成長。多いときは週に3回、1時間半のウェートトレーニングで「練習できないほど筋肉痛」になりながらも日々、肉体を追い込んだ。食は細い方だったが、夜中に吐きながらも食べ続け、今では服のサイズがSからXLになった。「技術的に安定し、技の質も上がった」と木原。地道な努力がついに実った。
ペアの個人種目は競技の大トリとして18日にSP、19日にフリーが行われる。五輪でも自己ベスト連発と勢いに乗る2人。「個人戦ではベストな演技ができるように」と三浦が言えば、木原も「自己ベストを超えられるように頑張りたい」と誓った。今季のテーマは「過去の自分たちに勝つ」。“りくりゅう”のさらなる進化が始まる。(小林 玲花)
◆木原 龍一(きはら・りゅういち )
▽生まれ 1992年8月22日、29歳。愛知・一宮市。
▽サイズ 174センチ
▽競技開始 4歳。「僕はエネルギーがありすぎたので、親が手を焼き、スケート場に連れて行かれた」
▽ペア転向 13―14年シーズンから
▽主な成績 高橋成美と組み14年ソチ、須崎海羽と18年平昌、三浦璃来と組み、22年北京と3大会連続で五輪に出場
▽趣味 野球、サッカー
▽三浦から見た木原 リードしてくれる。「気持ちの波がすごい激しい時に必ず引っ張ってくれる。気持ちの面での強さが頼りになる」
▽ネタバレ見る派 三浦とは漫画「ワンピース」が共通話題も、三浦は単行本派で、木原は先に情報収集する派。先を話すと、三浦にいつも怒られる。
◆三浦 璃来 (みうら・りく)
▽生まれ 2001年12月17日、兵庫・宝塚市。20歳
▽サイズ 145センチ
▽競技開始 5歳。ディズニーアニメを見て始める
▽ペア転向 15―16年シーズンから
▽主な成績 21年3月世界選手権10位、21年10月GPスケートアメリカ2位、21年11月GP・NHK杯3位。
▽特技 空手。小学校低学年の頃から4~5年習う。得意技は回し蹴り。
▽趣味 香水集め
▽木原から見た三浦 気持ちが強い。「ひどい転倒をすると、普通は恐怖心が出てくるが、三浦さんはすぐやり直して、必ず成功してくる」
▽おっちょこちょい 忘れ物が多い。木原は「スケートでは120%信用しているが、書類の提出は信用してない」
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