F1第18戦メキシコGPの決勝レースを制したのは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)だった。
F1は北米から中南米に舞台を移し、2年ぶりにF1がメキシコに帰ってきた。その開催地となるのは標高の高い首都メキシコシティにあるエルマノス・ロドリゲス・サーキット。F1マシンには欠くことのできない空気が希薄であり、ここでは通常よりもダウンフォースの確保が困難になる。そのため、各チームはハイダウンフォース仕様のマシンを持ち込んだ。
決勝レースが行なわれる日曜日は気温20度、路面温度47度と、晴天に恵まれた。
母国のヒーローであるセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)の凱旋ともあり、超満員のファンがサーキットを盛り上げた。レース前には盛大なセレモニーが行なわれ、空軍機が次々にフライバイ。青い空をナショナルカラーで彩った。
グリッド最前列に並ぶのはメルセデスの2台。レッドブル・ホンダ有利と見られたこの地でバルテリ・ボッタスがポールポジションを獲得し、ルイス・ハミルトンがそれに続いた。3番手には満足のいくアタックが叶わなかったフェルスタッペン、4番手に最終アタックでコースオフを喫したペレスとレッドブル・ホンダ勢が2列目に並ぶ。
その後ろ5番手にはピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)。チームメイトの角田裕毅は3戦連続の予選Q3進出を果たし9番手タイムを計測するもPU交換のグリッド降格ペナルティによって17番手からのスタートとなった。
各車のスタートタイヤは、角田とエステバン・オコン(アルピーヌ)がソフトタイヤ。その他のドライバーはミディアムタイヤを履いた。
大観衆が見守る中フォーメーションラップを終え、全車がグリッドに付いた。緊張感が最高潮に高まる中、シグナルライトオフ。71周のレースが幕を開けた。
3番手スタートのフェルスタッペンが抜群のスタートを決め、ストレートでメルセデス勢にスリーワイドとなって並ぶと、ターン1のアウトから2台を大外刈り。ポールスタートのボッタスはダニエル・リカルド(マクラーレン)に右リヤを当てられスピン。後方集団にいた角田とミック・シューマッハーは、オコンに追突される形となり、いずれもダメージを負ってリタイアとなった。
コース上にセーフティカーが導入される中、ボッタスとフロントウイングを壊したダニエル・リカルド(マクラーレン)はピットへ戻った。
フェルスタッペンを先頭に5周目でレース再開。ハミルトンとペレスを従えて首位をキープした。
フェルスタッペンは2周でハミルトンに対してすぐに2秒以上の差をつけ、ファステストラップを更新しながらさらに引き離しにかかった。
その後方ではランス・ストロールストロールが12周終了時点で早々にピットイン。ハミルトンもタイヤのデグラデーション(性能劣化)が大きくペースが上がらず、フェルスタッペンについて行くことができなくなった。25周目でフェルスタッペンとハミルトンの差が8.5秒まで拡大した一方、ハミルトンとの差を詰めるようにとチームからの指示が飛んだペレスが27周目で自己ベストを更新し、ひたひたとハミルトンの背後に迫った。
上位勢で最初に動いたのは、タイヤが厳しいと無線で訴えていたハミルトン。29周目にピットへ入りハードタイヤに履き替えた。ピットストップで5番手に後退したものの、前を走るシャルル・ルクレール(フェラーリ)が翌周、ガスリーも2周後にピットに入り、ハミルトンは3番手を走ることになった。
トップのフェルスタッペンは33周終了時点でピットイン。ハードタイヤを履いてコースに戻った。ペレスはハミルトンのピットストップに反応することなくステイアウトを選択。自己ベストを更新しつつ40周終了時点までミディアムタイヤでの走行を続けた。
ハードタイヤに切り替えたペレスはハミルトンの後ろ約9秒で復帰。追撃を開始した。周回遅れの集団に捉まった際にはタイムを失ったものの、49周目にペレスはファステストラップを更新し、ハミルトンとの差を6秒以内まで縮めた。
一方、ハミルトンとフェルスタッペンの差は53周終了時点で13秒に拡大。フェルスタッペンは盤石な体制を築いた。後方では、フェラーリが4番手のガスリーとのギャップを縮めるべくチーム間でポジション交代を行なった。ただ、先行したカルロス・サインツJr.とガスリーとの差は10秒以上まで開いていた。
ペレスはその後も好ペースを続け、レース61周目のホームストレートではハミルトンとの差を0.5秒まで詰めた。グランドスタンドの観客からはペレスを後押しする歓声が鳴り響いた。
ただ周回遅れの処理が続いたことなどもあり、66周目でのハミルトンとペレスとの差は2秒にまで再拡大。しかし、ペレスが諦めたわけではなかった。周回遅れを処理し前が開けた後、ペレスは再度ペースアップ。ハミルトンも意地の自己ベストを叩き出したが、残り2周でその差は再び1秒圏内にまで縮まった。
結局優勝は、後方に16秒の大差をつけたフェルスタッペン。ファイナルラップで最後のアタックをかけたペレスは一歩及ばす、ハミルトンが2位でチェッカーを受けた。フェルスタッペンはジム・クラークと並ぶメキシコGP3勝目。今季最多の9勝目を上げ、ドライバーズランキングでのハミルトンに対する差を12点から19点にまで開いた。
ペレスは3位に終わるも、自身として、そしてメキシコ人ドライバーとしても初の母国表彰台を獲得した。トップ3がマシンを止めたスタジアムセクションの観客はお祭り騒ぎ。レッドブル・ホンダのクルーも、ふたりのドライバーを担ぎ上げてダブルポディウムを祝福した。ホンダF1としても、1965年にF1初優勝を遂げた地で嬉しい勝利となった。
続く4位にはガスリー。フリー走行から調子の良かった角田はリタイヤに終わったものの、ガスリーが12ポイントを稼ぎ上げ、アルファタウリ・ホンダはコンストラクターズランキング5位を争うアルピーヌと106点同士で並んだ。
5位と6位にはフェラーリのふたりが入った。これによりフェラーリはマクラーレンを抜きコンストラクターズランキング3番手に浮上した。
7位にセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)、8位にキミ・ライコネン(アルファロメオ)、9位にフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)とベテラン3人が続く。10位にはPU交換の最後尾から追い上げたランド・ノリス(マクラーレン)が滑り込んだ。
オープニングラップでの接触で後方に落ちたボッタスにとっては、2回目のピットストップでも11秒を要するなど、決勝日は予選とは打って変わり受難の日となった。終始リカルドに行く手を阻まれポイント圏外で終わったものの、ファステストラップを記録し、フェルスタッペンからファステストラップの”ボーナスポイント”1点を奪ってみせた。
この1点により、メルセデスはコンストラクターズランキング首位の座を守ることに成功。ただレッドブルとの差はわずか1ポイントである。仮にボッタスがファステストラップをマーク出来なければ2チームが同点となり、勝利数でメルセデスを上回るレッドブル・ホンダに先行を許すこととなっていた。
今季のF1は第18戦を終え、次は南米ブラジルに舞台を移す。タイトル争いのみならず、随所で激しいバトルが展開される今シーズン。1週間後に行なわれるF1第19戦ブラジルGPからも目が離せない。
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