最後の重要局面で、ソフトバンクが地力を発揮して決定的な連勝で優勝を決めた。完璧な試合運びだ。12連勝中は78得点で18失点。1試合平均では得点6・5に対し、失点は1・5。投打ともに驚くべき数字だ。開幕前から選手層の厚さでは群を抜いていたが、その底力をここに来て前面に押し出しては、粘るロッテもなすすべなしと言えた。

今季はロッテに負け越しているが、ほぼ互角の西武をのぞいた残り3球団には圧勝。楽天戦6、日本ハム戦11、オリックス戦12と、いずれも大きく勝ち越し、余裕をもってシーズンを戦えたことがわかる。

前半戦は打てずに苦しんだが、そういう時の栗原のバッティングが光った。そもそもオリンピック予選でキューバ勢の不在を見越し獲得したバレンティンがまったく活躍できなかったが、そこをカバーした栗原の存在が大きかった。

特筆すべきは、シーズンを通して攻撃をけん引した柳田と中村晃の活躍だろう。柳田と中村晃のどちらも安打を記録し、かつ2人で4安打以上マークした試合は20試合(10月24日現在)あって15勝4敗1分け。勝率7割8分9厘という異例の高さを示す。

周東はまだ守備力の向上が求められるが、工藤監督が我慢して使ったことで、打撃面でもここに来て大きな成長が見られている。盗塁も40個を超え、リーグを代表する俊足バッターとして、レギュラーをつかもうとしている。

開幕前から甲斐野の長期離脱、千賀の出遅れやムーアの故障などアクシデントが続いたが、ベテラン和田がローテーションを守り、よく先発陣を支えた。

総合的に振り返ると、栗原、周東の若手、東浜、石川などの中堅、ベテラン和田と、年齢層的にも幅広く活躍していたことがわかる層の厚さだった。(日刊スポーツ評論家)

ガッツポーズする柳田(左)と石川(2020年10月23日撮影)
ガッツポーズする柳田(左)と石川(2020年10月23日撮影)