コロナ禍の影響で出雲駅伝が中止になり、11月1日に行われる全日本大学駅伝が学生3大駅伝の初戦になる。
今年の全日本大学駅伝はコースこそ同じだが、コロナ禍の影響で感染症予防対策が取られ、いくつか変更があった。沿道での応援・見学が自粛要請され、無観客に。伊勢神宮での表彰式もなくなった。例年、私は熱田神宮から伊勢神宮のゴール地点へと向かうプレスバスに乗車し、各地点で降りて監督たちの檄や指示を聞いていたが、今年はそのバスもない。
駅伝は「情報戦」でもある
何よりも「無観客開催」は、選手の走りに少なからぬ影響を与えるだろう。
応援の声は本当に選手に響くのか、元気づけるものになるのか、という声をよく聞くが、実は想像以上に心に響いている。沿道の声援は檄となり、その声で「苦しくても頑張ることができる」と選手は必ず口にしている。また、駅伝は前後のタイム差、選手の調子などの情報を得て戦う情報戦でもある。駅伝を見慣れているファンは、先行する選手や後続とのタイム差、選手の表情や状態など教えてくれるのだ。残念ながら今回は、その心に響く応援も声の情報もない。前が見えていれば気持ちが盛り上がって走れるが、見えない相手を何の応援も情報もなく単独で追うのはいつもよりメンタルの強さが試されることになる。
全日本大学駅伝は「後半が勝負」
レース戦略でいうと、2018年から7区が11.9kmから17.6kmと長くなり、8区(19.7km)とともにキーポイントになった。一昨年は7区でトップを走っていた東海大の湊谷春紀(現DeNA)が青学大の森田歩希(現GMO)に追い抜かれそのまま優勝を逃し、昨年は8区で飯田貴之(青学大)を名取燎太(東海大)が抜き去って16大会ぶり2度目の優勝を決めた。この2区間での結果が優勝を左右すると言っても過言ではない。そのため、エースクラスの選手が起用され、全日本は「後半勝負」が定説になってきている。
ただ、後半に勝負をかけられるのは、7区までしっかりとレースを作ってきたチームだけだ。
後半に比べて距離が短い前半区間で出遅れると、致命傷となる。3区までは1区、2区は手堅く、3区にエース級の選手を投入して主導権を握るなど、レースを整えていくことが求められるのだ。
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