日本の競馬史に、またひとつ、輝かしい蹄跡が刻まれた。
牝馬三冠の掉尾を飾る第25回秋華賞(10月18日、京都芝内回り2000m、3歳牝馬GI)で、圧倒的1番人気に支持された松山弘平騎乗のデアリングタクト(父エピファネイア、栗東・杉山晴紀厩舎)が優勝。史上初の「無敗の牝馬三冠制覇」という偉業を達成した。
この秋華賞は、今年2月のフェブラリーステークス以来約8カ月ぶりの「有観客GI」となった。
パドックに出てきたデアリングタクトはテンションが高く、小走りになってひどく発汗していた。競馬場に来たら入れ込むのはいつものこととはいえ、ゲートが開く前に消耗し切ってしまうのでは……と心配されたが、杞憂に終わった。
「こういう馬に出会うことができて幸せです」
道中は後方につけ、向正面の前半1000m手前で、外からじわっとポジションを上げた。
「少しゲートでうるさいところがあったのですが、上手に出てくれました。ポジションも思っていたとおりのところを取ることができて、折り合いもつき、流れに乗ることができました」
そう話した松山が3、4コーナーで軽く促すと、さらに前との差を詰め、先頭を1、2馬身の射程にとらえて直線に向いた。
「力がある馬なので、最後は馬場のいいところを走らせようと思っていました。自分の馬が一番強いと信じていました」と松山。
デアリングタクトは馬場の真ん中から脚を伸ばし、ラスト200mで先頭に立ち、1馬身1/4差で勝利をおさめた。
スタンドから見守った、馬主関係者を含む890人のファンによる拍手が響いた。
馬上の松山は、左手で3本の指を突き出し、喜びを表現した。
「体が大きくなって、いい成長をしてくれました。史上初の無敗の牝馬三冠ということで、正直、プレッシャーはありましたが、達成できて嬉しいです。こういう馬に出会うことができて幸せです。馬にはありがとう、おめでとうと言いたいです」
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