大相撲の時津風親方(47=元前頭時津海)が初場所中、日本相撲協会作成の新型コロナウイルス対策のガイドラインに違反したことが26日、分かった。
関係者によると、同親方はマージャン店のほか歓楽街に出向いていたという。協会は近日中に理事会を開き、処分を決める方針。同親方は昨年9月にもゴルフコンペに参加していたことが判明して2階級降格処分を受けており、違反は2度目になる。解雇を含めた厳罰は避けられない見通しだ。
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大栄翔の初優勝などで初場所が盛り上がった直後、水を差すような行為が判明した。時津風親方が本場所中にもかかわらず複数回、雀荘でマージャンに興じていたことが分かった。また、マージャンだけでなく、歓楽街にも繰り出していた。関係者によれば、同親方は今場所に限らず、雀荘に出入りしていたという。
日本相撲協会は、新型コロナウイルス感染拡大を予防するためのガイドラインを作成し、力士、親方らに不要不急の外出を禁じている。初場所前に協会員878人全員がPCR検査を受け、力士5人が陽性となった。このほか直近で力士らの感染が判明した計5部屋に所属する親方や力士らの全休を決定。力士65人が休場して、初場所を実施した。
多くの協会員は、感染予防を徹底しながら15日間を過ごした。その結果、出場した力士らに感染者は1人も出ず、無事に完走。八角理事長(元横綱北勝海)は観客に感謝しつつ「外出できない中、力士も行司も呼出も床山も、そして親方衆も、その家族もよく頑張ってくれた。医療従事者にも感謝」と話したばかりだった。
時津風親方は昨年9月、友人に誘われて宮城県に旅行し、ゴルフコンペに参加。さらに、密状態ながら居酒屋にて会食していた。これが発覚して秋場所を謹慎し、場所後に「委員」から「年寄」への2階級降格処分を科された。出直しを期したはずが、違反を繰り返す事態になった。
手本を示すはずの親方の2度目の行為に対してあきれる親方は多く「クビは避けられないでしょう」と指摘する声もある。時津風部屋は今場所、正代が優勝争いに加わり、弓取りの幕下将豊竜が新十両に迫るなど、最後まで出場した15人中12人が勝ち越し。同じ屋根の下に暮らす親方の行為は、彼らの頑張りを台なしにしかねなかった。千秋楽からわずか数日、熱戦の余韻が消えていく。
◆時津風正博(ときつかぜ・まさひろ)本名は坂本正博。元前頭時津海で、最高位は東前頭3枚目。1973年(昭48)11月8日、長崎県五島市生まれ。東農大を卒業後、96年春で幕下付け出しデビュー。翌97年夏場所で新十両。98年秋場所新入幕。通算466勝485敗43休、幕内通算322勝385敗43休。07年10月に現役引退し、時津風部屋を継承。昨年9月、日本相撲協会のガイドライン違反で秋場所を謹慎。委員から年寄に2階級降格処分を受けていた。
◆時津風部屋 1941年(昭16)10月に、不滅の69連勝を記録した横綱双葉山が立浪部屋から独立し「双葉山道場」を設立。45年11月の引退後に年寄時津風を襲名した。68年12月の死去後は一時、立田川(元横綱鏡里)が引き継ぎ、69年2月に元大関豊山が継承。98年には理事長に就任。02年8月、元大関豊山の定年に伴い元小結双津竜が継承。07年10月、新弟子死亡問題から先代時津風親方が日本相撲協会を解雇。前頭の時津海が現役を引退して名跡と部屋を継承した。横綱鏡里や大内山、北葉山、豊山の3大関を輩出した名門。昨年は秋場所で優勝した正代が大関に昇進したばかりだった。
◆日本協会のコロナ対策ガイドライン 「日常生活における感染予防」の項目の1つに「外出の自粛」がある。「不要不急の外出を自粛する。近隣以外への緊急な外出や必要な外出は、師匠が協会に相談した上で行う」と書かれている。また「協会員の移動」の項目の中にも「基本的に外出禁止とし、不要不急の外出をしない」「人との接触の機会を減らす」とある。なお外出する場合は「マスクを着用し『いつ、だれと、どこに』を明確にし、師匠に報告する」と明記している。
◆今後どうなる まずは日本相撲協会のコンプライアンス委員会(青柳隆三委員長=弁護士)が事実関係を調査する。時津風親方には弁明の機会も与えられる。コンプラ委は検討した処分案を日本相撲協会理事会に答申。これを受けて理事会が処分を決める。協会員への処分は軽い順にけん責、報酬減額、出場停止、業務停止(協会事業への従事を停止)、降格、引退勧告、解雇の7項目。
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