巨人が主砲不在の穴を「1 Team」で埋める。「2021 JERA クライマックスシリーズ セ」ファーストステージ初戦の阪神戦前日の5日、甲子園で全体練習を行った。上半身のコンディション不良とみられる岡本和真内野手(25)は別メニュー調整で、原辰徳監督(63)は初戦のベンチメンバーから外れる可能性を示唆した。相手先発は今季2戦で無得点の高橋。全試合で先発4番を張った打撃2冠王の欠場は痛いが、つなぎの打線で突破口をつくる。

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CS前日になっても、打撃ケージの中に岡本和の姿はなかった。10月31日からコンディション調整で別メニューだったが、この日も軽度のメニューで終えた。原監督は「和真は登録できないでしょうな、多分。打撃練習ができてないから。まあ、昨日よりだいぶいいっていうことだからね。2戦目はどうなるかわからないけどね」と、初戦のベンチメンバー外は示唆した。

打点と本塁打で2年連続2冠の4番不在は痛いが、原監督の頭は猛虎打倒にフル回転していた。打順について「まだ悩んでいるんだよ。あなたたちで考えなさいよ(笑い)。当たったら拍手を送るよ」と笑顔のベールに包んだ。だが、CSの盛り上がりも願う指揮官の言葉は、そこでは終わらない。打順決定までのプロセスの一端を明かした。

原監督 流れというものをどこかに切りたくないという…中での4番目のバッター、という感じじゃないでしょうか。4番目の選手、という流れで、チームが打線としてつながっていって。そういう考え方が正しいと思いますよ。

打線が理想的な流れを生んだ試合が142試合目にあった。CS進出を決めた10月23日、ヤクルト戦。初回に1番松原と2番坂本が連打でつなぎ、3番丸が先制3ラン。主導権を一気に奪い、11-1で完勝した。

前日練習前のCS共同会見では「早めに主導権を握る。先制点だったり、我々のリズムで戦いが進んでいくこと」をポイントに挙げた。阪神高橋には今季2戦で16回無得点、24三振と完璧に抑え込まれているが、この3人は安打を放っている。今季の1~3番を最も多く形成した3人の並びは継続し、岡本和の後ろに構えていたウィーラーや中田を4番目の打者に据えるオーダーを組む可能性は十分にある。

3位からのCS突破へ、原監督は「道は険しいかもしれない」と表情を引き締めつつ、続けた。「チャンスがある以上、ベストを尽くして、期待に応えられるように懸命に戦っていくと誓います」。スローガン「1 Team」の下、下克上に挑む。【浜本卓也】