今夏の全国高校野球選手権奈良大会の決勝を戦った天理と生駒の“再試合”が、午後5時半から始まる。

7月28日の決勝前日、生駒野球部に新型コロナウイルス感染による体調不良者が続出。準決勝で智弁学園を破ったベンチメンバー20人のうち12人を入れ替えて決勝に臨んだが、初めてベンチ入りした選手が11人で経験不足は否めず、試合は0-21と天理に完敗した。

だが試合後、天理ナインはマウンドに集まって優勝を喜ぶことをせず。相手校がベストメンバーで臨めなかった事情に配慮。9回2死で選手だけでタイムを取ってマウンドに集合し、主将の戸井零士内野手(3年)が「試合後に喜ぶのはやめとこう」と提案。ナインも受け入れ、ゲームセット直後はすぐに整列するなど、県王者らしい振る舞いを見せた。中村良二監督(53)は試合に出られなかった3年生を思い、生駒に練習試合開催を提案していた。

天理の配慮に、生駒の選手の家族も感謝。保護者会で横断幕を贈り、天理は甲子園のアルプスに飾ってともに戦った。2回戦は生駒の3年生部員が、甲子園に応援に駆けつけた。この日の球場一塁側にも横断幕が飾られた。

両校は午後4時過ぎからグランドでアップを開始した。

午後5時には、ユニホームに着替えた両校ナインがベンチを飛び出した。両校合同でノックを開始。同じ遊撃の守備位置に就いた天理の戸井は、生駒の遊撃手とトンとグラブを合わせた。スタンドの両校家族から、大きな拍手がわく中、白球を追った。

【先攻・生駒】

(遊)飯田

(一)矢野

(中)熊田

(捕)篠田

(左)筒井

(二)野村

(右)田副

(三)前田

(投)北村

【後攻・天理】

(左)大城

(右)原

(遊)戸井

(三)内藤

(捕)山村

(中)重舛

(一)川端

(投)南沢

(二)中村

◆奈良県大会決勝VTR 強豪天理に、奈良大会決勝初進出の生駒が挑んだ。だが、生駒の部員に新型コロナ陽性者や体調不良者が続出。昨夏の甲子園準Vの智弁学園を破った準決勝から登録メンバー20人のうち12人を変更した。初めてベンチ入りした選手が11人で、先発した1年生投手は大会初出場だった。天理は生駒の異変を知っていたが、中村監督は「手を抜く方が失礼。全力で戦え」とナインに指示。21-0で圧勝した。試合後は生駒を気遣い、マウンドに集まらずに整列した。