06年限りでユニホームを脱ぎ、15年ぶりの現役復帰を目指す元日本ハムの新庄剛志氏(48)が、阪神時代に師弟関係だった元打撃コーチの柏原純一氏(68)とタッグを組んで練習していたことが6日、分かった。新たな打撃フォームで万全の状態に仕上げ、7日に行われる12球団合同トライアウトに臨む予定。師弟の絆で年齢、ブランクなどのあらゆる壁を破り、球界に再びミラクルを起こす。
9月下旬。7日のトライアウトに向けて約1年前から準備していた新庄氏の前に、最強の「助っ人」が現れた。阪神時代に指導を受け、唯一の「打撃の師」として全幅の信頼を寄せる柏原氏。20年ぶりに師弟タッグが再結成された。
「いや…。思ったよりもいい」――。久々に新庄氏の打撃を見た柏原氏の、驚きとともに漏れた第一声だ。06年に現役を引退し、ブランクは14年…。肉体的な変化を自覚する新庄氏は「自分の体を知っていないと、このアイデアは出てこなかった」と振り返る。かつてはバットを高々と掲げてのフルスイングが代名詞だったが、48歳の肉体に合わせて中堅方向を強く意識したコンパクトなフォームに変更。試行錯誤を続ける中で、さらに背中を押してくれたのが柏原氏との練習だった。
新庄氏「(狙うのは)センターですよね」
柏原氏「ピッチャーの左側ぐらいで」
新庄氏「悪くないですか?」
柏原氏「バットが前に出ている!」
次第に熱を帯びる指導。変わらぬ強い絆で、運命の日に向けて最高の状態に仕上げた。
新庄氏は阪神での2軍時代、そして99~00年には1軍で柏原打撃コーチの下で技術を磨いた。伝説は99年6月12日の巨人戦。延長12回に外角に大きく外れる敬遠球をサヨナラ安打した。現役時代に敬遠球を本塁打にしたことがある柏原コーチと、あらかじめ大きく外れたボールを打つ練習を重ね、当日も同コーチと打ち合わせて「劇打」につなげた。
新庄氏は現役時代から「新庄劇場」と称された驚きのプレーの数々で常識を覆してきた。引退後はタレントに転身。モトクロス競技にも打ち込み、インドネシアのバリ島にも移住した。昨年11月に自身のインスタグラムに動画を投稿し、現役復帰を目指すことを宣言。トライアウト前日のこの日は、神社を訪れて「合格祈願」を行った動画をアップし「この一年やることは精いっぱいやった。あとはみんなが思っていることを成し遂げにいくだけ。見てろよ!!全米が注目!!」などと書き込んだ。
かつて、ファンは新庄氏に夢を乗せ、歓喜した。新型コロナウイルスの影響で暗い話題ばかりだった2020年。準備は整った。日本ハムの背番号「1」のユニホームを身にまとった48歳が、全国に明るい話題を届ける。
◆新庄 剛志(しんじょう・つよし)1972年(昭47)1月28日生まれ、福岡県出身の48歳。西日本短大付から89年ドラフト5位で阪神に入団。01年からメッツ、ジャイアンツと大リーグで3シーズンプレーし、04年からは日本ハムに所属。06年限りで現役を引退した。NPBでの通算成績は1411試合で打率・254、205本塁打、716打点、73盗塁。ベストナイン3度、ゴールデングラブ賞10度。7度出場したオールスターでは2度MVPに輝いた。右投げ右打ち。
≪TBS「バース・デイ」12日スペシャル放送≫TBSのドキュメンタリー番組「バース・デイ」では、約5カ月間にわたって新庄氏に密着。トライアウトに向けて練習する姿を追い続けた。その模様は12日午後4時30分から1時間スペシャルでオンエア(関東ローカル)される。
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