来年の大相撲初場所(1月10日初日、東京・両国国技館)を、初のかど番で在位4場所目を迎える大関朝乃山(26=高砂)が29日、激動だった2020年の稽古納めをした。この日は基礎運動と、若い衆にぶつかり稽古で胸を出し、稽古を締めくくった。稽古終了後、先代(元大関朝潮)から部屋を受け継いだ新師匠の高砂親方(元関脇朝赤龍)の「今年一年、お疲れさま。来年も頑張りましょう」の言葉と、朝乃山の3本締めで納めた。

例年通り稽古再開は年明けの1月3日から。ただ例年と違うのは、新型コロナウイルスの感染拡大を受け故郷の富山に帰省できないこと。電話取材に応じた朝乃山は「違和感しかない。今回は初めて(正月も)東京にいる」と、もどかしそうに話しつつ「(部屋の)土俵もトレーニング室も空いている。体調を見ながら空いた時間は体を動かしたい」と何とかプラス思考にとらえた。11月場所を序盤で途中休場した右肩の痛みも「大丈夫。肩は動かせるし相撲を取っていても違和感はない」と今月中旬、関取衆と合同稽古した感触から手応えを口にした。

3月の春場所で大関昇進を決めたが、晴れの昇進場所となるはずだった5月の夏場所は中止。リズムを狂わされた1年を「1月は近大の先輩の徳勝龍関が優勝して刺激になり(春場所後に)大関に上げてもらって1つの目標が達成できて、そこはうれしかった。最後の最後(の11月場所)は悔しい結果で終わった(けど)」と自己評価した。

初のかど番で迎える初場所。緊張感も出るだろうが「初日になれば出てくるかもしれないけど、そのことは考えずに目の前の一番一番に集中したい」と話した。正月はいつも実家で白みその雑煮などの、おせち料理を食べていたが、それもかなわず。ただ故郷からは、ぶりなど名産品が送られており「何か(他に食したいものが)あれば後援会にお願いしたいと思う」と故郷の応援を味方に付ける。

わずかな年末年始の休みの楽しみは、大みそかの格闘技「RIZIN26大会」のテレビ観戦。元十両貴ノ富士のスダリオ剛や朝倉兄弟、那須川天心らに注目している。いまだに大関昇進披露パーティーも開けない状況だが「1つ上を目指している。来年は、もっといい年にしたい。優勝しないと綱とりは見えてこないので、そこが第一条件。(初優勝は)たまたまだと思うので、次はやっぱり実力で取らないと」と、まずは“権利取得”の2度目Vを目指す。