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巨人 桑田理論に張本氏が喝 その真意は?「誰より走ったのは桑田」巨人OBの視点 - デイリースポーツ

 巨人の投手チーフコーチ補佐に桑田真澄氏が就任。17日のTBS系「サンデーモーニング」では桑田氏の指導理論に野球評論家・張本勲氏が反論し、話題となった。

 番組では桑田コーチの「たくさん走ってたくさん投げるという時代じゃないので、スポーツ科学の発展で出てきている。それを活用して」という発言を紹介。これに対して張本氏は桑田コーチの加入を歓迎したうえで、その指導理論については「何を言っとるんじゃ!ダメだよ。科学的にやれるなら東大生はみんなうまくなるわ」などと、“喝”を入れた格好となった。

 走り込みや投げ込みなどが「根性論」と結びつき、こうした練習や発言がクローズアップされると、ネット上では賛否が巻き起こる。巨人OBで、デイリースポーツ評論家・関本四十四氏は「極端に取られてしまうんだろうが、どちらの考えも納得できるところはある」という。双方の真意はどこにあるのか。

 関本氏は桑田氏がプロ入りした86年、巨人2軍投手コーチを務めていた。「当時、誰より走っていたのが桑田だった」とし、ルーキーイヤーのキャンプではいきなり驚かされたという。

 「キャンプ初日、全てのメニューを終えて多くの選手がグッタリする中、桑田が寄ってくる。『関本さん、トラックを走ってもいいですか?』って」。練習メニューはトレーニングコーチが管理していたが、当時の2軍監督である須藤豊氏が許可。桑田氏はトラックでインターバル走をひとり黙々と消化した。

 また、桑田氏が引退後に参加していた少年野球教室で「自分は子供の頃、コーチに肘をなるべく早くトップに持っていけと言われたが、プロの投手は手を下ろしています」と話したことも覚えているという。桑田氏は早大大学院でスポーツ科学を学び、東大野球部でも指導。関本氏は「引退後にさまざまなことを学び、自分が現役時代に行ってきた練習や理論を見つめ直したのだろう。今ではトラックマンなどさまざまな機材を使ってパフォーマンスを上げることができる。桑田にはカリスマ性もあるし、選手は興味を持って話を聞くだろうな」と語る。

 一方、通算3085安打のレジェンド、張本発言の真意はどこにあるのか。関本氏は「長丁場であるシーズンを戦い抜くには走り込みや投げ込み、打ち込みの必要性を多くの人が感じてきたということだ。投手でいえば直線のランニングだけではなく、左右に振ったノックを受けると、下半身に粘りができる。桑田だって、ノックを1日30~50本やっていた」という。

 過去、巨人では桑田氏の恩師、藤田元司監督時代にキャンプ第3クールで投げ込みを設定。「藤田さんが言っていたのはフォームのバランス、その日の健康状態も良いときにやってくれと。打者の振り込みなんかも同じ事が言われるけど、疲れがたまった状態だと無駄な力が抜けて、スッといいフォームで投げられるもんなんだ」。

 巨人では2000年以前からトレーニングコーチが練習メニューを管理し、科学的トレーニングも導入。ただ、藤田監督時代には“失敗例”もあったという。ある年の春季キャンプで、大学教授を招いて「走り方講座」を受講。20~30メートルの直線距離で、そのフォームを意識して走るメニューが組まれたという。

 「当時、選手は大喜びだったよ。楽だもん。でも、そのシーズンは開幕してみたら3~5イニングでつぶれる投手が続出した。因果関係は分からないところもあるが、すぐに100本ノック、ポール間走をして作り直しとなった」

 関本氏は桑田氏が1軍だけでなく、ファームを指導することにも注目。「走り込みや投げ込み、そうした思想は阿部(巨人2軍監督)のほうが持っているかもしれない。ただ、桑田だって自分がやってきたことの全てを否定するという訳ではないだろう」とした。

 一方で、指導者の難しさも指摘する。「一つ言えるのは桑田が教えるのは桑田真澄ではない。すぐ成果が出る選手もいるかもしれないし、そうではないことも多い。周囲も含めて、どういったスパンでやっていくか、見ていかなければいけないだろうな」。

 春季キャンプまで10日余り。桑田氏がどういった指導をしていくのか、注目が集まりそうだ。

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