横浜FCの元日本代表FW三浦知良(54)が今冬、JFLの鈴鹿ポイントゲッターズに移籍する可能性があることが7日、分かった。複数の関係者が明かした。横浜FCから契約延長オファーも受けているが、今オフはより多くの出場機会を求め、移籍先を模索する意向。鈴鹿は兄の三浦泰年氏(56)が監督兼GMを務め、早くからカズの動向を調査しており、この日までに獲得の動きを本格化させている。
来年2月に55歳になるカズが来季、JFLに参戦する可能性が出てきた。今年9月には念願のJ3ライセンスも交付された鈴鹿は、今季JFL4位と躍進。22年に三重県初のJ参入を目標に掲げる。そのシンボルとして、カズに獲得をオファーした。兄の三浦泰年監督が選手の編成面も担うGMを務め、既に話し合いも重ねているという。
鈴鹿はこれまでも日本サッカー界に新風を吹き込んできた。19年にJFLに参入すると全国リーグ所属の男子チームとしては初の女性監督としてスペイン人のマルティネス氏を招へい。人選の始まりがグーグル検索の「サッカー 女性 監督」だったことは有名な話だ。今回は、日本サッカー界の「キング」招へいに動いた。
J1でもJ2でもJ3でもない。サッカー界では4部相当でプロもアマも混在するJFL。クラブハウスや練習場など環境面は劣るかもしれない。それでもクラブに情熱があり、自身を必要とするならカテゴリーは関係ない。23年2月の完成を目指す新スタジアム計画もある。カズがカズであり続けるため、重要なのは「出場機会」。JFLでカズダンスが見られても不思議ではない。
カズにとって兄の三浦泰年監督の存在も心強い。今もLINEなどでサッカーを語り合う仲。時には監督目線で最終ラインからの引き出し方、ゴール前への入り方などもやりとりするという。昨夏、ルヴァン杯に出場したカズを見た際は「今も感覚があるね。相変わらずうまい」とうなっていた。誰よりもカズの特長、性格を知る。頭の中にはすでに起用法もあるかもしれない。
最終節札幌戦の翌5日には来季J2に降格する横浜FCからも契約延長オファーを受け、面談でも「いい話し合いができた」と話していた。16年在籍したクラブへの愛着や感謝の思いもあるが、一方で今季リーグ戦出場1戦のみという現実に新天地を求める思いは強い。既に複数クラブから獲得の打診、問い合わせも届いており、争奪戦の様相も見せている。54歳のキングの周辺が熱くなってきた。
▽鈴鹿ポイントゲッターズ 2009年にFC鈴鹿ランポーレとして発足。翌10年から9年間、東海1部に所属し12、14、17、18年優勝、19年からJFL参加。今年2月にリーグ百年構想クラブに認定され、9月にJ3ライセンスが付与された。19年には女性指揮官、スペイン人のマルティネス監督が就任し話題に。活動拠点は三重県鈴鹿市。
▽JFL(日本フットボールリーグ) Jリーグ入会を目指すクラブの他、企業やアマクラブなどが所属し、アマチュアにとっては最高峰の全国リーグ。来季は16チームがホーム&アウェーの2回戦総当たりで戦う。J3昇格にはJリーグ百年構想クラブに認定され、J3クラブライセンスの交付を受ける必要がある。その上で、JFL4位以内かつ百年構想クラブの中で上位2位に入ることが条件。一方、J参入を目指さないクラブはアマ契約、社員選手のみで戦うなどプロ、アマが混在している。
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