<国内女子ゴルフツアー:樋口久子・三菱電機レディース>◇最終日◇30日◇埼玉・武蔵丘GC(6650ヤード、パー72)◇賞金総額8000万円(優勝1440万円)◇有観客開催

金田久美子(33=スタンレー電気)が1988年(昭63)のツアー制施行後としては最長ブランクとなる、11年189日ぶりの優勝を果たした。2位に3打差の首位で出て、4バーディー、4ボギーの72とイーブンパーで回り、通算9アンダー、207。19歳の川崎春花を2位に退け、ツアー2勝目を挙げた。かつて「天才少女」、さらに金髪やへそピアスなどの派手なファッションで「ギャルファー」と呼ばれた。今は自ら「ベテラン」と呼ぶが、6シーズンぶりとなる来季のシード権も得て、ますます意欲的だ。

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金田にとって、この試合に勝つことに大きな意味があった。大会名誉会長で、男女を通じ日本人初のメジャー覇者でもある、樋口久子さんの名前が入った大会。優勝すると、待っていた樋口さんが泣いていた。「それを見て、また泣いちゃいました。アマチュアのころから樋口さんには温かい、おしかりの言葉をたくさんいただいていたので」と、感謝を口にした。

おしかりの言葉は「化粧が濃いとか(笑い)。中学生の時にロッカーで『ちょっと』と呼ばれて。『目の周り真っ黒よ』とか『髪の毛が』と。次からはちゃんとしました(笑い)」と、まるで母親のようだった。「ギャルファー」とも呼ばれた、個性的なファッションやメークを全て変えろとまでは、言われなかった。ただ、プロの試合に出る以上、観衆の目もある。最低限のラインを示され、すぐに納得した。

それでも「こんな見た目なので、全然練習していないと思われる」。良くないイメージが、今も一部で先行することも。SNSに私服姿の写真を掲載しただけで「もっと練習しろ」などと批判的な書き込みが相次ぐ。それでも「ファッションも楽しんでゴルフをしたい」と、信念は10代のころから変わらない。「引退するまでミニスカート? 年相応にしながら好きな格好をしたい(笑い)」。樋口さんの涙が、何よりも金田の努力を物語っている。【高田文太】