J2リーグは16日、第10節を各地で行い、2位のFC町田ゼルビアが首位の大分トリニータを3-1で破った。注目の上位対決を制した町田が3試合ぶりの白星で首位を奪還。駒澤大出身のプロ2年目で、サガン鳥栖から期限付き移籍中のFW荒木駿太が2ゴール1アシストの大爆発を披露した。
ここまで6勝2分1敗の町田と、7勝1分1敗の大分による上位対決。互いにミッドウィークの前節から中3日の一戦となったが、町田が出場停止のDF藤原優大に代わってDFカルロス・グティエレスを起用したのみで、大分はこの3連戦を11人全員同じスターティングメンバーで迎えた。[スタメン&布陣]
立ち上がりの主導権を握ったのは大分。GK西川幸之介を起点としたビルドアップで町田のプレスをかわすと、前半5分にはMF中川寛斗の左CKでサインプレーを試み、エリア外で待っていたMF野村直輝が果敢に左足ボレーシュートを放った。だが、これが大きく枠を外れると、その後は町田のプレスが機能。大分の攻撃をことごとく阻み、FWエリキやMF平河悠のスピードを活かしたカウンター攻撃を繰り出していった。
すると前半23分、町田が美しいトリックプレーから試合を動かした。MF高江麗央の右CKはショートで出し、これをDF翁長聖が受けると、フェイク気味に流れていた平河がニアゾーンを突破して折り返しのパス。これに反応した荒木が右足ダイレクトでネットを揺らした。2試合連続で先発中の荒木は5試合ぶりのゴールとなった。
なおも攻める町田は前半32分、翁長のロングスローを大分守備陣がクリアしきれず、ファーに飛び込んだMF高橋大悟が身体をひねりながら狙うもサイドネット。それでも直後のゴールキック、大分のビルドアップに狙いを定めた高橋がミスを誘い、荒木がボールを奪うと、ペナルティエリア左からシュートを突き刺し、鮮やかな速攻からゴールを打ち抜いた。
町田はさらに止まらない。前半38分、波状攻撃から荒木が左に流れ、右足でクロスを送ると、ファーに流れたボールを平河が左足でシュート。これは西川の脇をすり抜けゴールマウスに向かったが、DFデルランが見事なゴールカバーで阻んだ。ところが同39分、相手ゴールキックをマイボールにした町田は平河、荒木とつなぎ、右サイドにスルーパス。これに反応したエリキが右足で叩き込み、3-0とした。
一方的なビハインドとなった大分は後半開始時、リベロのDF上夷克典と右シャドーのMF中川寛斗に代わって4-2-3-1にシステムを変え、左SBにMF高畑奎汰、右ウイングにMF宇津元伸弥を投入。すると開始2分、デルランのフィードを野村がフリックし、左サイドを攻め込むと、MF藤本一輝がシュートに持ち込んだ。
その後も大分が優勢に転じて試合を進めるが、町田も後半9分、カウンターでエリキが左に抜け出し、クロスから翁長が惜しいヘディングシュートを放つなど、さらにゴールへの脅威を見せつけた。徐々に戦況は均衡していき、同30分には大分が脳震盪の疑いがあった高畑に代わってMF梅崎司を投入した。
すると後半31分、大分は中盤で野村がファウルを受けながらも左に展開し、藤本が得意のドリブルで縦に持ち出すと、左足クロスに宇津元が反応。ペナルティエリア右の角度のないところから強烈なヘディングシュートを突き刺し、ようやく1点を返した。
さらに大分は後半33分、ペナルティエリア左で野村がファウルを受けていい位置でFKを獲得。やや流れを持っていかれそうになった町田の黒田剛監督は同34分、一気に3枚替えを敢行。運動量の落ちていたエリキ、高橋、平河を下げて5-4-1にシステムを変更し、DF深津康太、FW藤尾翔太、FW沼田駿也を投入した。
大分は後半35分、野村のFKからDFペレイラのフリックヘッドでゴールを狙うも、町田GKポープ・ウィリアムがスーパーセーブ。同40分には18歳のMF保田堅心を入れてさらなる攻勢を狙ったが、町田の分厚い守備ブロックを崩すことはできず、最後は今季初出場のMF安井拓也とFW中島裕希を入れて時間をかけた町田が守り切った。大分は連勝が3でストップし、4試合ぶりの黒星を喫した。
(取材・文 竹内達也)
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