Search

大谷翔平、前代未聞の97%後払い契約はシャーザー、バーランダーら他選手の相場にも配慮か - 斎藤直樹のメジャーよもやま話 - MLBコラム - ニッカンスポーツ

大谷翔平投手(29)がドジャースと契約を結ぶ直前のこと。4日付の本コラムで、大谷は契約金額の多寡を気にせず、気持ちに素直に従った「日本人らしい」選択をするのでは、と予想した。

ふたを開けてみれば、なんと97%を後払いにするという、前代未聞の契約だったことが判明した。ここまで極端だとは予想できなかったが、それだけ球団への「一緒に勝ちたい」「負担をかけたくない」「補強費に回してほしい」という願いの表れだと思う。素直に気持ちに従ったといえるだろう。

球団だけではない。大谷は他の選手にも気を使ったはずだ。現在のMLBで最高のスターだけに、安い金額で契約すれば、他の選手の相場を下げてしまう。総額7億ドル(当時のレートで約1015億円)は、これまでの記録(エンゼルス・トラウトの4億2650万ドル)を2億ドル以上も更新するメジャー新記録。年平均でも、シャーザー(レンジャーズ)とバーランダー(アストロズ)の4333万3333ドルを大きく超える7000万ドルとなった。しかも、大リーグ選手会(MLBPA)からの評価は、後払いの分を現在価値に割り引かれても、年平均は4378万3056ドルと、ぎりぎり前記2投手を超えるものとなった。偶然にしては、数字が近すぎる。ここまで計算して、契約と後払いの金額を出してきたのではないだろうか。

前の段落で「現在価値に割り引かれても」と書いた。ここの理解が難しいと思うので、しっかり説明してみたい。

大谷の契約は、総額7億ドルで、1年7000万ドルの10年契約だ。来年から10年間は、7000万ドルのうち毎年200万ドルだけを受け取って、残りの6800万ドルを11年目から20年目までに受け取る。つまり1年目(200万ドル)と11年目(6800万ドル)で合計7000万ドル。2年目(200万ドル)と12年目(6800万ドル)で合計7000万ドルとなっていくイメージだ。20年目の2043年の7月1日に、給料をもらい終わる。大谷は49歳になる年だ。

さて「現在価値に割り引く」だが、これはお金の価値が現在と未来では異なるので、必要な計算となる。年利率4%で今年の1ドルを来年まで預金しておけば、来年には1ドル4セントとなる。つまり、今年もらう1ドルは来年もらう1ドルより価値が高い。逆に言うと、来年もらう1ドルは、100÷104=96・153%で、96.15セントにしかならない。1ドルを2年間預金しておけば、再来年には1ドルと8.16セントになる。ということは、再来年の1ドルは、今年の92.46セントに相当する。

こうして計算していくと、現在の預金金利が続く限り、年が経過するごとに将来の1ドルの価値はどんどん減っていく。今回の契約では、米国の連邦中央銀行の10月の中期利率が年4・43%で、これが採用されたという。

総額7億ドルの契約は、20年間をかけて全額をもらうため、現在価値に直していく(割り引く)と65・8%に相当する4億6076万7685ドルとMLB機構には計算された。選手会には、62・5%に相当する4億3783万563ドルと計算された。

通常は、こうした後払い契約を結ぶ場合、後から払われる分には利子をつけてもらうことが多い。ところが、今回の大谷の契約は無利子だ。11年目以降に繰り延べ払いとなった6億8000万ドルを4%で運用すれば、10年後には10億ドル(約1400億円)を超える。こうなれば、大谷の契約総額を大きく超えてしまう。ドジャースのウォルター・オーナーは資産運用会社のCEOでもあり、このへんはお手の物だろう。

ここまで読めば、どれだけ大谷が、球団のお財布に優しい契約をしたか、お分かりだろう。もっとも、米誌フォーブスによると、大谷は今年のスポンサー収入が3500万ドル(約49億円)を超えるという。今季は年俸3000万ドル(約42億円)の契約だった。今後もスポンサー契約は続くことが予想されるだけに、お金に困ることはないはず。こうした事情も、ドジャースに極力負担をかけない契約につながっている。【斎藤直樹】

(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「斎藤直樹のメジャーよもやま話」)

14日、ドジャース入団会見で背番号17のユニホームに袖を通した大谷翔平
14日、ドジャース入団会見で背番号17のユニホームに袖を通した大谷翔平
12月14日 ドジャース入団会見でバレロ代理人(左)と記念写真に納まる大谷
12月14日 ドジャース入団会見でバレロ代理人(左)と記念写真に納まる大谷

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細
https://ift.tt/TOjqkCB
スポーツ

Bagikan Berita Ini

0 Response to "大谷翔平、前代未聞の97%後払い契約はシャーザー、バーランダーら他選手の相場にも配慮か - 斎藤直樹のメジャーよもやま話 - MLBコラム - ニッカンスポーツ"

コメントを投稿

Powered by Blogger.