競泳の16年リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)400メートル個人メドレー金メダルの萩野公介(27=ブリヂストン)が、現役を引退することが24日、分かった。
萩野は3大会連続出場となった東京五輪で200メートル個人メドレー6位。五輪後は休養に入って、関係者へのあいさつ回りを行っていた。金、銀、銅を獲得した16年リオデジャネイロ大会後は不調に苦しんだが、やっとたどりついた東京五輪をラストレースとした。
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萩野が、完全燃焼で引退を決断した。2010年代を引っ張った天才スイマーが現役を引退する。関係者によると、東京五輪後は予定を白紙にして休養。関係者にあいさつ回りを行っており、すでに所属先などへの連絡を済ませていた。今後については未定という。
萩野は、3大会連続出場となった東京五輪で800メートルリレーと200メートル個人メドレーに出場。800メートルリレーは予選敗退。200メートル個人メドレーは準決勝を突破して、号泣した。幼少期からのライバル瀬戸とともに決勝に進出して「もう1本、決勝で大也と泳げるなんて、神様がくれた贈り物」と涙をぬぐった。決勝は得意の背泳ぎで思う存分に飛ばし6位。「この東京五輪は今までの五輪で1番幸せだった」と再び涙した。五輪後の競泳国際リーグ(ISL)への参加オファーがあったが「休みたい」という理由で固辞していた。
19年春にはモチベーション低下による休養を経験した。「引退しようと思えば、引退できるタイミングだった。でも今じゃないと思った」とプールに戻ってきた。今年4月の日本選手権は五輪連覇がかかった400メートル個人メドレーを回避して200メートルに専念。最後の火を燃やすようにもがきながら、東京五輪に立った。
「怪童」と呼ばれ、ジュニアの年代からフル代表まで活躍した。13年は日本選手権史上初の5冠など多種目で活躍して、単独種目で戦ってきた日本競泳界の常識を打ち破った。ただ15年世界選手権前に右肘を骨折。リオで「キング・オブ・スイマー」と呼ばれる400メートル個人メドレー王者となったが、その後は本来の泳ぎを取り戻せなかった。
ラストレースを終えて、瀬戸と抱き合った。完璧主義者でかつてはわざわざ自分の欠点をみつけて調子を崩す悪癖があった。しかし決勝を終えて「僕自身にも『ありがとう』という感謝の気持ちです」。それは事実上の引退宣言だった。【益田一弘】
◆萩野公介(はぎの・こうすけ)1994年(平6)8月15日、栃木県生まれ。作新学院中-作新学院高-東洋大-ブリヂストン。五輪は3大会連続出場。12年ロンドン大会400メートル個人メドレー銅。16年リオ大会は同種目金、200メートル個人メドレー銀、800メートルリレー銅。個人メドレーで200メートルの1分55秒07、400メートルの4分6秒05はともに日本記録。19年にシンガー・ソングライターmiwaと結婚して、第1子が誕生した。得意は背泳ぎと自由形。177センチ、71キロ。
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