ライバル同士の激突を見ることはできるのだろうか。 ともに、今大会2試合を完投した天理のエース達孝太と中京大中京の畔柳亨丞は昨年の新チーム結成後の練習試合で対決した時からの友人だ。今ではスマホで連絡を取り合うような仲だと言う。 【秘蔵写真】ガリガリの柳田&ヘンテコ帽子の井口、超無名だった頃の甲斐やイケメン由伸、和田など名選手80人超が球児の頃 1回戦の登板を終えた時、畔柳はこう語っている。 「達からは、昨日、頑張れよという連絡が来ました」 一方、達はこんな思いをはせている。 「まじ、投げ合いたいです」 大会前から、そして大会中も評価をあげた投手の直接対決というと、第81回大会の今村猛(広島)対菊池雄星(マリナーズ)を思い出すが、気がかりなのは達、畔柳両投手の疲労具合だ。 達は1回戦からほとんどのイニングを投げているだけでなく、1試合の球数が多い。1回戦と準々決勝では160球を超えたし、完封勝利をあげた2回戦でも134球を投じている。中村良二監督によれば「いつもの達は1試合120~130球くらい」と言うから、普通ではない。 畔柳は達ほどの球数ではないが、組み合わせの関係上、1試合ごとの登板間隔が短かい。これまで全試合が中1日だ。それでもほとんどのイニングを任されている。2人が登板の際のテレビ中継では何度も電光掲示板の投球数がアップになっていた。それほど関心があることなのだろう。ちなみに、畔柳は準決勝の明豊戦、1週間500球の球数制限ルールのため、121球までしか投球できない。
「もっと早い継投も考えたのですが…」
ここで考えなければいけないのは、準決勝進出の4チーム中で2人の投球数だけがクローズアップされてしまっている点だ。もちろん、中京大中京は組み合わせ上の不利が働いているが、これまでのマネジメントに疑問を抱かざるをえないのだ。 天理は1回戦の宮崎商戦は7-1で勝利した。7回で6―0。8回に7―1としたのだが、それでも中村監督は最後まで続投の指示。その理由をこう語っている。 「継投も考えたのですが、宮崎商業さんは県大会の準決勝、決勝戦で6点差をひっくり返してきているチーム。どんな展開になっても変えるつもりはなかった」 一方、畔柳は1回戦・専大松戸戦では好投手・深沢鳳介との投げ合いを制して完封。6安打を浴びながらも12三振を奪う快投で前評判通りの実力を見せつけた。2回戦では常総学院を相手に15点快勝。6回終了時点で9-1としたが、8回表に2点を加えてようやく畔柳の交代を決断。試合後の質問は交代時期に及んだが、中京大中京・高橋源一郎監督は理由をこう説明している。 「常総学院さんは一度打線に火がついたら止められないチーム。もっと早い継投も考えたのですが、この試合に勝利することを目指してそう判断しました」 高橋監督はこれと同じ言葉を6-0で勝利した準々決勝の東海大菅生戦後にも口にしている。 相手打線の脅威を恐れて、エースの力に頼る。 達、畔柳はチームの絶対的エースだけに、指揮官たちの決断を鈍らせたのだろう。
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