大相撲の横綱鶴竜(35)=陸奥=が2021年3月24日、現役を引退した。 5場所連続で休場していた鶴竜は、3月場所での復活を目指したが左足を痛めて初日から休場していた。日本相撲協会は同日、年寄「鶴竜」襲名を承認。鶴竜は2001年九州場所で初土俵を踏み、横綱在位41場所、通算6度の幕内優勝を飾った。今後は親方として後進の指導に当たる。 ■現役続行希望から一転、引退した背景には... 鶴竜は近年、度重なるケガに悩まされ休場が相次いだ。腰痛、右肘痛に加え、下半身にも故障を抱え、3月場所は左太もも肉離れで休場を決断。5場所連続での休場となったが、師匠の陸奥親方(元大関霧島)との話し合いのなかで、鶴竜本人は現役続行の意志を見せていたという。 現役続行を望みながらも一転して引退する道を選択した鶴竜。このような決断を下した背景には、横綱審議委員会の存在が見えてくる。 横綱審議委員会は昨年の11月場所後、休場の目立つ鶴竜と白鵬に対して「注意」を決議。これは「引退勧告」に次ぐ重いものだ。横綱審議委員会の決議に強制力がないとはいえ、両横綱に向けて「覚悟」を求める強い「意思」がうかがえた。さらに春場所後に予定されている会合では「引退勧告」がなされる可能性もあった。 休場を繰り返すことに対する周囲の風当たりが強まっていくなかで、鶴竜は引退を決断した。
白鵬への風当たりは鶴竜よりも強く...
横綱は休場や成績不振などで番付が下がらない絶対的な存在である一方で、その力を土俵で維持出来なければ潔く自ら身を引くことが求められる。鶴竜にしてみれば、自身で進退を決したことはせめてものプライドだったのかもしれない。 鶴竜の引退で一人横綱となる白鵬は力士生命の危機に立たされている。 白鵬は3月場所で初日から2連勝するも右膝の状態が思わしくなく3日目から休場。負傷した右膝の治療、リハビリに約2カ月を要する見込みで、5月場所の出場は難しく、復帰の土俵は7月場所が見込まれている。 白鵬の意志とは別にして、3月場所後に進退が問われる可能性がある。白鵬は昨年11月に横綱審議委員会から「注意」の決議を出されている。3月場所後の会合で横綱審議委員会が「引退勧告」を決議する可能性もある。この決議は強制力を持たないが、決議されれば白鵬にとっては非常に重いものとなるだろう。 ここ最近、休場が目立つ白鵬に対して関係者からも批判の声が上がっており、周囲の風当たりは鶴竜以上に強いものがある。
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