「試合が終わってこんなにホッとするのも久々なくらいホッとした」。宿敵・韓国を相手に3-0の圧勝。日韓戦では2011年8月10日に同じく3-0で勝利して以来となるシャットアウト勝ちに日本代表DF吉田麻也(サンプドリア)は安堵の笑みを浮かべた。
「代表戦は普段と違うプレッシャーがあるうえに、キャプテンマークを巻くプレッシャー、まして今回は日韓戦というプレッシャー。見えないプレシャーはいつも以上に大きかった」
それだけではない。前日の取材対応で「ここで結果を出さないと男じゃないという理由がある」としていた“もう一つのプレッシャー”の正体について、試合後「プライベートジェットで帰ってきました。すみません!」と明かした。
今回の試合に向けては、選手は新型コロナウイルス感染症の検査を3日間受けることが義務付けられており、試合3日前の22日中に帰国できなければ出場資格を失う懸念もあった。吉田が所属するサンプドリアの試合が終わったのは現地時間21日夕方。日本時間ではすでに日付を超えて22日になっていた。定期便での帰国なら到着が23日になるため、日本サッカー協会はチャーター機を用意。広い機内に選手は吉田とMF守田英正(サンタクララ)のたった2人という“VIP待遇”での帰国だった。
しかも、22日の羽田空港到着時刻は空港が閉まるギリギリの23時30分。「僕らの便以外は飛んでいなかった中、(空港職員が)何人も待機してくれていた。協会の方々、ホテルの方々の協力があり、韓国代表も厳しい状況、賛否両論がある中でこうやってきてくれた。その結果、試合ができた」。スタジアムに集まった8356人のサポーターやテレビの前のファンも含めてすべての人に感謝し、「ここで結果を出せなかったら男じゃない。だからこそホッとした」と息をついた。
吉田自身にとって韓国戦の勝利は2011年以来となる。「前回は(香川)真司くんに勝たせてもらったような試合だった」。あれから10年。キャプテンマークを巻き、新しい選手も多く加わったチームを牽引しての完勝に充実感をみなぎらせながら、「予選も勝たなければいけない」と、30日に控えるW杯アジア2次予選・モンゴル戦(フクアリ)に向けて意気込んだ。
(取材・文 矢内由美子)
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