新型コロナウイルスの影響で延期となった東京オリンピック。開催か中止か。その分岐点はどこにあったのか。大会関係者が明かした「本音」とともに、この1年余を振り返る。13回連載の12回目は「緊急事態再延長」。<次回は7月4日掲載予定>
大型連休が明けた2021年5月6日、国際オリンピック委員会(IOC)が電撃発表した。東京オリンピック・パラリンピックに出場する各国・地域の選手団に、米製薬大手ファイザー社の新型コロナワクチンを無償で提供するという。日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は「大会参加者、ホスト国である日本の安心安全を確保するための取り組みであると聞いている。大変ありがたい話」と感謝した。
永田町関係者「選手、競技団体はすごく喜んでいる。一般の接種に影響せず、スポーツドクターにお願いすればできるみたいだ。これで最悪でも無観客にして、各国の選手団にワクチンを打ってもらえば開催の見通しは立つ」
だがこの時期、国内では世界に比べ、ワクチン接種は進んでいなかった。医療従事者や高齢者より先にワクチン接種してもいいのか。選手や関係者は複雑な思いを抱えていた。
JOC幹部「選手を守ってくれるのはありがたい話だけれど、IOCとファイザーが五輪関係者のために確保するというニュースを国民が…
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