7月28日、体操男子個人総合決勝が行なわれ、新王者が誕生した。
優勝したのは橋本大輝。19歳355日での金メダル獲得は、この種目では1992年バルセロナ五輪で金メダリストとなったビタリー・シェルボ(旧ソ連合同チーム)の20歳200日を塗り替え、史上最年少。日本体操として通算100個目という記念すべきメダルとなった。
「100個目も最年少も『僕でいいのかな』って思ったんですけど、100個目のメダルは、僕の前に99個のメダルが受け継がれてきているので僕の100個目が獲れたのはその99個の前の人たちのおかげです。単なる偶然ですけど、100個目になれたことは光栄です」
タイミングとしては偶然だったかもしれない。でもこの日のパフォーマンスを見れば、実力で手にした、必然の金メダルだった。
「たぶん14.6点獲れれば優勝だろう」
立ち上がりから順調だった。ゆか、あん馬と滑らかな滑り出しを見せる。
しかしつり輪では技の1つが認定されなかったのか、思うような得点にならず(日本チームはジャッジに確認を求めたが判定は変わらなかった)、跳馬はラインオーバーをおかした。
ここからが見せ場だった。平行棒で15.300点を出し、すべては最終種目の鉄棒にかかった。橋本は得意とするこの種目で14.933点をマーク。見事、逆転して演技を締めくくった。
2日前の団体総合決勝でも好演技を見せて日本の銀メダルに大きく貢献し迎えたこの日、橋本には優勝の期待が寄せられていた。その期待を背負いながら、鉄棒では大きなプレッシャーが生じそうなものだが、橋本の言葉にそれはうかがえなかった。
「点数とかけっこう見て考えたりしちゃっていて、最後、たぶん14.6点獲れれば優勝だろうと思っていました」
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