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大橋悠依、0・13秒差の激戦を執念で制して「金」…個人メドレー2冠 - 読売新聞

 東京五輪第6日の28日、競泳女子200メートル個人メドレーの大橋悠依(イトマン東進)が2分8秒52で金メダルに輝いた。400メートル個人メドレーに続く2種目制覇で、日本女子が夏季五輪1大会で2冠を達成するのは初めて。

 最後に横一線で並ぶデッドヒートとなった200メートル個人メドレー決勝。大橋が力を振り絞り、ゴールを目指した。「最後は本当に体が止まった」。残っていた気力と金メダルへの執念で2位と0・13秒差の激戦を制した。25歳で迎えた初の五輪で2冠を成し遂げ、東京大会の主役に躍り出た。

 本人が「酸欠で全身に痛みまで感じる」と表現するほど過酷な400メートル個人メドレーで頂点に立ってから、3日。自分を信じ切れないことが多かったタイプの選手だったが「気持ちに余裕がある」と、前向きなコメントを出すまでになった。連日のレースで疲れても、ふと不安がよぎっても、集中力を切らさなかった。

 長い手足で流れるように泳ぐ「美しさ」があっても、心身の「強さ」には欠けていた。初出場した2017年の世界選手権では、個人メドレーの200メートル銀メダルで舞い上がり、得意の400メートルは表彰台に上がれなかった。一つの結果に満足し、さらに上を目指す貪欲さに欠けていた。

 以前は「五輪は興味のない人にとったら、どうでもいいこと。金メダルを取っても、一歩、社会に出たら大したことじゃないかもしれない」と考えていた。だが実際に輝くメダルを手にするとこれまでと違った景色が見え、大きな自信を胸に次の栄冠を勝ち取った。

 「大舞台で、いい泳ぎができて、すごく自信になった」。大学時代に一時、競泳を続けるかどうか悩むほど貧血に苦しんだ。笑顔よりも、つらいことの多かった競技人生が、二つの金メダルに結実した。(北谷圭)

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