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侍ジャパン入り…ヌートバーを育てた“昭和”の教育方針 母が語った『3つのおきて』【両親単独インタビュー】:中日スポーツ・東京中日スポーツ - 中日新聞

父・チャーリーさん(左)とヌートバー選手(中)と母・久美子さん。久美子さんは息子の試合を必ず見るという。(写真は母・久美子さん提供)

父・チャーリーさん(左)とヌートバー選手(中)と母・久美子さん。久美子さんは息子の試合を必ず見るという。(写真は母・久美子さん提供)

 海外生まれの日系選手として初めてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の侍ジャパン入りが決まったカージナルスのラーズ・ヌートバー外野手(25)の母・久美子さん(57)と父・チャーリーさん(56)がこのほど、自宅のあるカリフォルニア州エルセグンドで中日スポーツの単独インタビューに応じた。母子の強い絆、家族の教育方針、日本代表との不思議な縁など、ヌートバー一家の秘密に迫った。(阿部太郎)

 ◇「ママっ子」ヌートバーは「裏表ない子」

 「自分はママっ子だから」。ヌートバー選手は常にこう公言し、母への思いは人一倍強い。侍ジャパン入りが決まった後の取材でも、「母を笑顔にできるチャンスがあるのはクールなこと」。屈託のない表情で語った。

 久美子さんは「なかなか25歳の子が『ママっ子』って言わないですよね。でも、あの子は外でも言っちゃう。全く裏表がないから。きっと恥ずかしいとか、ないんですよ」。兄と姉がいて、3人兄弟の末っ子。「ラーズと私は段々と兄弟の関係みたいになってきてね。今でも取っ組み合いとか、プロレスごっことかするんですよ」。「ラーズのガールフレンドも認めてて、『いいよ、別に。ラーズはお母さんがナンバーワンだから』って」。息子を語る母の目尻は下がった。

 ◇「私は昭和の人間なんです」

 両親は3人の子供を愛情深く育てた。その一方で、久美子さんは「しつけには厳しかったですよ」と話す。子供の頃、口酸っぱく言った3つのおきてがある。(1)時間は守る(2)友達とは仲良くする(3)あいさつはちゃんとする。

 久美子さんは「時間は厳守。子供の頃は何時に帰らないとダメと。例えば、5時までと言ったら5時になる2分前には玄関に出て待っている。そしたら、公園の方から走ってくるのが見えてね。私は『10、9、8…』と数えて。遅れたら鍵を閉めちゃう。結局、最後は入れちゃいますが」。そして、続けた。「私、昭和の人間なんですよ。アメリカには昭和の時代に来たから、平成、令和は知らないの。ハハハ」。笑い声が自宅に響いた。

 ヌートバー家の方針。両親は子供たちにとにかく外で遊んで欲しかった。チャーリーさんも、久美子さんも「ゲームは絶対に買わなかった。したいなら、友達の家でどうぞという感じ」と口をそろえた。自宅を購入する際も、総合運動公園のような施設や高校のグラウンドが近いことで即決。「家の中も見ないで決めた。周囲の環境を見てね」

 スポーツをするのに最高の環境で育ったヌートバー選手は野球、アメフト、バスケット、ホッケー、ライフガードとあらゆる競技を経験し、たくましくなった。久美子さんは「1年中、違うスポーツをやっていた。何で目が出るか分からない。とにかく、家でゴロゴロさせるのが嫌だった。英才教育は全くしていないし、メジャーの選手にしたいと思ったことはなかったですけど」。

 ◇「侍ジャパン Coming」

 メジャーリーガーになった今でも、久美子さんは愛息に毎日のようにメッセージを送る。「特に打った時は、あの二塁打は良かったねとか、あの本塁打は勝負強かったとか。そしたら、向こうもサンキューと返してきたり」。親子は常につながっている。ヌートバー選手からの電話は決まってビデオ通話の「FACETIME」。顔を見合って、最後に必ず言ってくれる。「I LOVE YOU(愛してるよ)」。そして、息子は決まってキスをするしぐさをするという。久美子さんは「この言葉が一番うれしいかな」とはにかんだ。

 ヌートバー選手はオフになると、毎日のように実家に来ては、両親と一緒に食事をする。侍ジャパン入りが決まってからは、「侍ジャパン」の言葉を使って、久美子さんの笑いを誘っているそうだ。

 「家に来たら、『侍ジャパン Coming(来たよ)』とか、何でも侍ジャパンをつけてくる。この前も『侍ジャパン Starving(めっちゃおなかすいた)』って言って。だから、私もラーズが変なことすると、『侍ジャパンはそんなことしないな』と言い返してね(笑)。ずっとこんな感じ」と久美子さん。その横で、チャーリーさんが笑いながらつぶやいた。「本当、この2人は中学生みたい」。(続く)

 ▼ラーズ・ヌートバー(Lars Nootbaar)1997年9月8日、米国生まれの25歳。190センチ、95キロ、右投げ左打ちの外野手。2018年のMLBドラフト8巡目でカージナルスから指名され、プロ入り。2021年にメジャーデビューし、58試合に出場し打率2割3分9厘、5本塁打、15打点。昨季は108試合で打率2割2分8厘、14本塁打、40打点。

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