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気持ちの強い琴ノ若…これからが楽しみだ 勝ち越しまで死ぬ気で頑張れ豊昇龍【北の富士コラム】:中日スポーツ・東京中日スポーツ - 中日新聞

琴ノ若(上)が押し倒しで貴景勝を破る

琴ノ若(上)が押し倒しで貴景勝を破る

◇18日 大相撲初場所11日目(両国国技館)

 優勝への流れは、貴景勝に向かっていると昨日、書いたのは誰でもなく私です。そう断言するほど貴景勝は安定した相撲を見せていたのだが、本日は伏兵琴ノ若にいいところなく敗れ去った。

 立ち合いは、貴景勝が頭で当たり、先に突っ張って出たが、琴ノ若は突いてくる左腕を下からおっつけて防戦する。これが思いのほか、効いたとみえて、貴景勝の出足が止まった。

 ここで、琴ノ若が差しにでるか、上手を引くかと思わせたが、そのまま押して出た。これは予想もしない展開だった。一番驚いたのは、おそらく貴景勝だったろう。琴ノ若はここが勝機とばかり、一気に攻め立てる。琴ノ若の猛烈な出足に、貴景勝の丸い体が土俵下まで転げ落ちてしまった。

 先ほどは、伏兵と述べたが、過去にも琴ノ若が一番、勝っているし、敗れた相撲も互角の戦いを見せている。決して、単なる番狂わせではないと言える。それだけ琴ノ若が強くなっているということである。

 今場所も、前半戦は連敗が続き心配させたが、中日あたりから、ぐんぐん力を出してきた。この力士の特長は、前半戦が悪くても、決してそのまま崩れることがない。これは非常に良いことで、精神力が強いということになる。この気持ちの強さは、おじいさん(元横綱琴桜)や父(元関脇琴ノ若)よりも上である。今のところは、豊昇龍や若隆景に話題が集中しているが、上位との対戦は、琴ノ若の方が勝っているだけに、楽しみな存在である。

 その豊昇龍は、左足首のけがを感じさせない相撲で、元気者の錦富士に勝った。勝ち越しまであと1勝。死ぬ気で頑張れ。

 若隆景の方は、霧馬山のとったりの奇襲に体がついていけず、6敗となってしまった。いくら奇襲といっても、落ち着いて出ると、食うほどのものではない。今の若隆景は、完全に自分の相撲を見失っている。自信もなくしていると思われる。

 コツコツと努力して、大関を狙うところまできたのに、ここで負け越すと、絶好のチャンスを逃してしまう。逃した魚は大きいと言う。死んでも負け越してはだめだ。そして死んでも、前みつを離してはいけない。

 それにしても、昨日も本日も「死んでも」と簡単にいっている自分に気がついたが、私も若いころは死んだ気になれと言われたものだ。昔の相撲とりは、これだから若い者に嫌われる。今後は気をつけます。

 阿武咲は若手の琴勝峰を寄せ付けずに2敗を守った。3敗は2人。また少しだけ面白くなってきたみたいです。

 追伸。朝乃山が負けました。やはり十両の全勝は難しいようだ。せっかく祝儀の用意をしていたのに残念、無念と言いながら、実はホッとしています。

 それでは晩飯にします。昨日から本日にかけて、九州や北海道、近所のおじさんから差し入れをたくさんいただきました。新鮮な、なまことカキがうまそうです。マーボー豆腐もあります。それでは「アロハ」。まだハワイ気分が残っています。 (元横綱)

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