阪神がまさかの逆転サヨナラ負けで27年ぶりの開幕4連敗を喫し、単独最下位に転落した。1点リードの9回、守護神のカイル・ケラー投手(28)が1死満塁のピンチを招いて降板。救援した4年目右腕の湯浅京己(あつき)投手(22)が西川に逆転打を浴びた。阪神は25日の開幕ヤクルト戦でもケラーが逆転打を浴びるなど、最大7点リードを守れず。矢野燿大監督(53)は試合後、守護神ケラーを断念し、湯浅に任せるサプライズ起用を明かした。

阪神ファンの悲鳴とともに西川の痛烈なライナーは佐藤輝の頭上を越えていった。歓喜の輪を作る広島ナインに、ぼう然とする湯浅と阪神ベンチ。あまりに残酷なコントラストだった。

勝てない。開幕4連敗。1勝の重みを聞かれた矢野監督は開口一番、「うん…それはもちろん、重々感じています」と絞り出した。

またも新守護神ケラーで悲劇の結末となった。1点リードで迎えた9回に登板。だが、先頭マクブルームにあっさり右前打を献上。1死後、上本には12球も粘られた。真っすぐは140キロ台中盤でどの変化球も合わされ、空振りが取れない。根負けの四球を与えた。

代打長野の投前へのゴロも捕り損ねて(記録は内野安打)1死満塁。矢野監督に我慢の限界がきた。ケラーに代えて、湯浅-。1軍経験の浅い4年目の22歳右腕には酷な状況だった。最後、西川に投げ込んだのはど真ん中の直球だった。

来日が今月6日までズレ込むなど、調整不足気味だったケラーを守護神に指名した矢野監督は厳しい表情だ。「空振りも取れるボールがないし、1人に対する球数も増えてしまっている。状態的にはやっぱりまだしんどいかな、というところで代えたんだけど」。25日の開幕ヤクルト戦も最後にケラーが3失点するなど7点リードを逆転された。

そして大きな決断を下した。「ケラーは後ろ(抑え)は外すけど(岩崎)優はそのままの方がいいのかな。あそこにつなぐところは大事なので。もちろん、全部大事なんだけど…。(抑えは)現状、湯浅でいこうかなと」。ケラーに断を下したが新ストッパーは岩崎ではない。この日最後に送り出した153キロ右腕を起用する考えを明かした。

「もう開き直って、勝負に行った結果なんで。あそこで行く経験ももちろん湯浅にもまだなかったし。でもそういうところから経験を積んで、成長していってくれたらなと。(今日は)誰が行ってもどう行っても厳しい場面だった」

課題だった“スアレスの穴”を再び痛感し、ナインは悔しげにバスに向かった。たかが4連敗、されど4連敗…。サプライズの人員配置となる必勝リレーが挽回の劇薬となるのか。今季限りでの退任を表明している矢野阪神に開幕早々、正念場が訪れた。【柏原誠】