チェルシーのオーナーでロシア人実業家のロマン・アブラモビッチ氏(55)が10日、他の6人のロシア人富豪とともに、英国政府から同国内の資産を凍結された。これにより、同氏はチェルシーを売却することができなくなった。
英国政府が10日に公開した文書によると、アブラモビッチ氏は「クレムリン寄りの新興財閥」として「ウクライナを不安定化させ、ウクライナの領土保全、主権と独立を脅かす人物、つまりウラジーミル・プーチンと関わりがある。何十年も親しい間柄だった」と評された。
同氏はこれまで繰り返し、プーチン大統領やロシア政府とのつながりを否定してきたが、同大統領と政府から経済的な利益を得てきたと認定された。
英ガーディアン電子版によると、アブラモビッチ氏はクラブを売却することができなくなり、クラブに資金を投入することも禁じられた。同氏は経済制裁を科せられる可能性が高まって以来、チェルシーを売却する意向を示し、買い手を探していた。米国人実業家を中心に興味を示す人物、団体は多かったが、クラブ売却プロセスはいったん停止となる。
チェルシーは当面、アブラモビッチ氏以外のクラブ関係者によって活動を継続するための特別ライセンスを与えられる。だがチケットやグッズの販売は禁じられ、新たな選手との契約や既存の選手の契約更新もできなくなる。一方、シーズンチケット保持者は試合を観戦でき、3月10日より前に購入したチケットや、この日より前に決まっていた契約などは有効だという。
今後の見通しは不透明だが、政府関係者はクラブ自体は守ると明言している。チェルシーは事実上、政府の管理下に置かれ、仮に売却されるとしても、アブラモビッチ氏には利益が渡らないような形になるという。
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