久保は今月2日のラ・リーガ第19節アラベス戦を終えた後、カタール・ドーハでアジア杯を控える日本代表に合流。合宿当初はアラベス戦の終盤に痛めた左太ももの治療のため、室内での別メニュー調整が続いていたが、11日のトレーニングから無事に全体練習に復帰しており、アジア杯期間中の完全復活に問題はなさそうだ。
そんな久保だが、アジアに帯同する間は7日のコパ・デル・レイ(スペイン国王杯)マラガ戦(○1-0)を始め、絶対的な主力を担うリーグ戦を複数欠場する予定。日本が2月10日の決勝まで進み、ソシエダが国王杯で勝ち上がった場合、欠場する試合は最大10試合にも及ぶ。アラベス戦の前日会見ではイマノル・アルグアシル監督が「私はできるだけ早く敗退してほしい」とジョーク混じりに本音を口にするなど、大きな話題を呼んでいた。
それでも久保はアジア杯を戦う道を選んだ。日程に関しては「しょうがないものはしょうがないので」と冷静に受け止め、ソシエダの戦いぶりは画面越しに応援していく様子だ。「実際にカップ戦も勝ちましたし、13日にもダービーがあるのでちょっと時間帯は遅くなるけど、見られるならしっかり前半だけでも見たい。チームを気にしないわけにはいかないのでチームは気にしつつ、自分は自分のやるべき事を今やるべきだと思う」と意気込みを語った。
また自身不在のチームについては「別に僕一人が抜けたからって、そんなに落ちるチームじゃない」と断言。「一昨年までは実際に僕もいなかった中で、5位、6位でずっとやってきたので、チームメートの心配はしていないですね。気にはなりますけど」と述べ、チームメートを信じて見守る気持ちを示していた。
スペイン現地ではソシエダの関係者やファン・サポーターだけでなく、数々の大手メディアも議論を提起するなど、久保のアジア杯参加は冬の一大トピックとなっていた。そうした状況について久保は「アジア杯やAFCON(アフリカ杯)で抜けている選手の中なら一番、二番くらいにチームにとって痛い選手だと思うので、そういう議論は出ると思う」と前向きに受け止めている。
またそんな現地メディアがこぞって危惧していたのと同様、久保自身も懸念していた”最悪の事態”は避けられていた。
「僕にとって不幸中の幸いだったのは、チャンピオンズリーグとかぶっていなかったことですね。かぶってたらさすがにちょっと『いやぁー』と思ってましたけど、(10日のアジア杯)決勝まで行って勝っても、もう(航空)便も調べてるんで。次の日の朝の便で帰れば2日、3日練習できる。むしろ11日にチームの試合(第24節オサスナ戦)があるので、逆算したらその人たちよりもコンディション良くやれるのかなと思ったりもしています」
昨年12月18日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)ラウンド16の組み合わせ抽選会で、ソシエダはパリSGと戦うことが決まったが、アジア杯決勝から中2日となる13日の試合開催は回避。第1戦は14日に組まれ、「欲を言えば21日の週が良かったけど、そんなうまくいかなかったですね」と苦笑いも浮かべた久保だったが、「でも中3日あればいつものリーグ戦と変わらないのでそこは大丈夫です」と出場に前向きな見通しを示した。
また対戦相手が友人のMFイ・ガンインが所属するパリSGに決まったことで、アジア杯決勝で韓国代表と対戦した後、欧州CLで再会するというシナリオも浮上した。アジア杯前は両チームともオフがなく、会うことができなかった様子。それでも久保は「決勝で会おう」と話していると明かしつつ、「アジアカップ決勝でやって勝ったら、(欧州CLの)1stレグは引き分けでもいいかな。1stレグくらいは譲ってやってもいいかなと思ってますけど(笑)」と口にして報道陣を笑わせていた。
そんな未来図を描くためにも、まずはアジア杯での活躍が欠かせない。「僕個人としてはいろんな思いはあるけど、プロになってからタイトルがないのも事実ですし、ここらでタイトルを取りたいと思っていた。となったら優勝しかない。チームには迷惑をかけるけど、しっかり優勝したいなと思っています」。アジア王者のタイトルを携え、再び欧州最高峰の舞台に帰っていくつもりだ。
(取材・文 竹内達也)
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