<皐月賞>◇17日=中山◇G1◇芝2000メートル◇3歳◇出走18頭◇5着までにダービー優先出走権
福永騎手騎乗の5番人気ジオグリフ(牡、木村)が差し切り、混戦の1冠目を制した。勝ち時計は1分59秒7。2着は3番人気イクイノックス(牡、木村)。
皐月賞ワンツーを果たした木村哲也調教師(49)をひと言で表現するなら「向こう見ずな(=熱い)人」だと思う。鹿島アントラーズのファンであり、大好きなサッカーチームや名門チームの姿に自らの厩舎の理想を重ねてきた。
一昨年からは調教時に英国・プレミアリーグのトッテナム・ホットスパー(愛称スパーズ=日本語の意味は、向こう見ずな人たち)のマークが入った紺色の帽子を必ずかぶっている。「ぜひ見てください。すごく面白かったですから」。師がそう勧めてきたのは、アマゾン・プライムビデオの人気番組「オール・オア・ナッシング~トッテナム・ホットスパーの再興」。そこではチームを率いる監督や経営者の苦悩、選手たちがロッカールームで意見をぶつけ合う姿などが描かれていた。
11年に開業し、重賞初制覇(15年フラワーCアルビアーノ)、G1初制覇(18年マイルCSステルヴィオ)と着実に成績を残したが、目指すものはもっと上にある。信頼する厩舎スタッフと熱く仕事に取り組み、取材対応も常に真剣勝負。ノーザンファームを中心に各馬主の素質馬を預かる責任感から、1つの問いに対して数分間、熟考することもある。「個人的なことになってしまうけど、私は育った環境が競馬関係者ではなく、ファンの1人として楽しんでやってきました。今、こういうクラシックという舞台に2頭を送り出せる立場にいられるのが不思議ですし、光栄に思っています」。2冠目のダービーへ、向こう見ず(いい意味で…)に突き進んでいく。
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